地獄でまた会いましょう。

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地獄でまた会いましょう。

愛理須(わたし)と美音は仲の良い友達同士だった。 中学のときから高校の時までは。 美音は中2になってから些細なことでも 怒るようになった。 それは、わたしが初めての彼氏と 付き合い始めた頃だった。 最初はかわいいものだったけど、 段々ヒートアップしていってわたしに石をぶつけたりするようになって、 さらにはクラス全体でのいじめに発展した。 そして、わたしを慰めてくれた彼氏を 美音は寝取った。 彼氏の存在はわたしの中でも大きかった。 縋りついても彼氏は「ごめん」としか言わず 美音は彼氏の後ろで笑っていた。 そして初めて美音も彼を好きだったことを知った。 だから、あんな真似をしたんだと。 初めて、人を憎いと思った。 いくら好きでも友達を裏切る ようなことをするなんて。 わたしは学校での居場所を無くし孤立した。 彼を手に入れて満足したはずなのに さらにいじめはエスカレートし わたしは死にたいと思うまでになっていった。 美音は家でのストレスをわたしに ぶつけていたんだと思う。 その頃美音のお姉さんは行方不明になっていたから。 ある日、わたしは誰かに背中を押されて 階段から転げ落ち、命を落とした。 意識を失う前、憎悪に満ちた表情の 美音が見下ろしていた。 美音は誰かの声がすると逃げていった。 わたしを助けることもしなかった。 そこで、確信した。 わたしたちはもう、親友には戻れないのだと。 もう1度生まれ変われるなら 復讐してやりたい。 最期にそう思って瞳を閉じた。 「その願い叶えてやろう」 目覚めると頭に角を生やした 2メートルほどの大男が立っていた。 肌は黒く顔には大きな目玉ひとつだけ。 わたしは見たこともない怪物を恐れた。 けれどわたしの魂と引き換えに 美音の人生を歪めることができる。そう聞いて わたしは嬉しくなった。 だって、この手で美音を殺せるんだもの。
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