二人の女の死

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二人の女の死

妹の顔は苦痛に歪み、白いシャツは 真紅の血で染まる。 「どうして? どうしてなの。お姉ちゃん」 瞳に涙を溜めながら苦しげに言う。 わたしは妹に突き刺したナイフを ギュッと強く握り引き抜いた。 突き刺した箇所から血が噴き出した。と 同時に妹は事切れてしまった。 「どうして、ですって?」 ふふふと笑う。 わたしを裏切ったあんたが言うか。 「あんたに復讐したかったからよ。 あんたの絶望の顔を見れて 楽しかったわ。ありがとう、美音。 あぁ、もう聞こえてないわね。 死んでるんですもの。」 倒れた美音の横腹の近くに赤い水たまりができる。 復讐は終わったようだな。 くぐもった男の声。 「ええ。終わったわ」 では、お前の魂をいただくとしようか 面白いものを見れて楽しかったよ。 「あ、ぁぁぁっ!!!!」 心臓を潰されたかのような激しい痛みがして わたしは吐血し、地面に座り込んだ。 ふふふ。 妹が死ぬ横で姉が死ぬなんて。 肩で息をしながらも笑いが込み上げる。 景色がぼやけて頭がガンガンする。 感覚が消えていく。 「さようなら、」 わたしはにっこり笑って瞳を閉じた。
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