本祭

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なんだ? なんか…視線、キョロキョロして… 「あの…あのね…」 「おお…」 「莉玖…写真撮った時みたいに…呼んでもいい?」 「…え?…いいけど?」 …って 写真撮った時ってなんだ? けど… ものすっげぇ可愛い顔してるし 何でもいいや 「ほんと?」 「おお」 「お…お兄ちゃん」 「………っ!」 そっ… それか~~! お兄ちゃんか~~! 凪彩の生お兄ちゃんヤバい! しかも、本格的に顔見て言われんのヤバい! 「あの時ね?莉玖の事…そう言って…莉玖の事…直接そう呼んでみたいなって思ってた。ほんとのお兄ちゃんじゃないけど…嬉しい」 「おっ…俺だって嬉しい!ほんとの兄ちゃんじゃなくたって、今はもう…ほぼ兄弟なんだから、兄ちゃんでいいだろ?」 「うん…ありがと」 「名前…ちゃんと変えれたらいいのにな?」 「名前……変えようかな…」 「……え?」 変えようかな? 凪彩が変えようと思ったら 変えれるもんなの? 「俺の年齢とか…莉玖の家に来たタイミングとか…ちゃんと養子にしてもらえるんだって」 「え……ええっ?!マジで!神谷になれるって事?!」 「うん。父さんと母さん…受験終わって、少し落ち着いた頃話してくれた」 「じゃ…じゃあ、そうしてもらえばいいんじゃねぇの?なんか…問題あんのか?」 「俺ね…凄く何人もの親戚の人達に、引き取ってもらった」 「うん…」 何だ?突然… あっ… ここじゃない…親戚の家が良かったとか? 「俺がね…行くとね……良くない事が…起きてね…」 「……ん?」 「皆…俺が行く前は幸せだったのに…俺が行くとね…不幸になるんだ…」 「……は?」 「だからね…莉玖とも…あんまり仲良くなりたくなかったし…ここにも…いつまで居られるか分かんないと思ってた」 あれ… なんか聞き覚えあるな あれだ 中2病のやつだ 「蒼渚さんが…莉玖の家は、大丈夫だからって言ってくれて…色んな話聞いて…少し気が楽になって…でも、やっぱりどこかで怖くて…莉玖が…車に轢かれた時…ああ…っ…やっぱり…っ…俺が来たからっ…こうなったんだって…思った…」 「はっ?!…なんでそうなんの?!」 でも… なんか…色々分かってきたぞ? 蒼渚に…それ相談してたんだ 俺が大丈夫とか 運がいいとか言ってたのとか… そういう事か 俺が交通事故に遭った時 尋常じゃなく動揺してたのは そういう事か これまで行った家で そういう事起こってたのか 「俺っ…居る間っ……また…何か起こるかもしれないからっ…っ…また…~~っ…俺…ここ出てかなきゃなんないっ…様な事っ…」 「起きない!」 ガシッと凪彩の肩を組む 「起きない!ってか、何か起きたからって、凪彩のせいでもなければ、それで凪彩が、ここ出てかなきゃなんないなんて事、あり得ないから」 「~~~っ…でもっ…そんなのっ…分かんないんだよ?」 「そんなの、凪彩じゃなくたって、俺ん家じゃなくたって、分かんねぇよ!蒼渚ん家だって、隣の家の人だって、いつ何が起きるかなんて分かんねぇんだから。けど…だからって、凪彩がどっか行かなきゃなんないって事はねぇよ!絶対!」 「~~っ…分かっ…分かんないもんっ…」 そうだよな 分かんないんだ だって… そうじゃない事ばかり起きてきたから 「凪彩…それで…そんな理由で、養子になんの考えてたの?」 「っ…父さんと…母さんは……鳴宮 凪彩にも…沢山の思い出…あって…大切にしたい…だろうから……それは…俺が決めていいからって…言ってくれて…」 「あ…そうか…そうだよな…」 ほんとの…母さんとか…ばあちゃんとか… その時の名前… 変えちゃうって事だもんな 「でもっ…文化祭とかっ…花火とかっ…みたいに……鳴宮 凪彩が…俺の中から消えちゃう訳じゃないから…」 「…うん」 「莉玖の事…~~っ…ほんとの…お兄ちゃんって…っ…呼びたいっ…」 「~っ…うん…俺も…凪彩の…ほんとの兄ちゃんになりたいって思うよ?」 「うっ…~~っ…ふぇっ…莉玖っ…いい?俺…またっ……誰か…不幸にっ…しちゃうかも…~っ…しれないけどっ…」 凪彩の肩を掴んで寄せる 「いいに決まってんだろ?見ろ!俺は完全に元気だし、怪我させた篠田さんは、もはや父さんと母さんの、友達みたいになってんぞ?篠田さんの仕事も大丈夫そうだし…ってか、めっちゃ金持ちだったし…誰も不幸になんか、なってねぇよ」 「莉玖の家ならっ…俺が居ても…大丈夫かもしれないっ…」 「んだよ、その言い方。ここは、凪彩の家だろ?」 「~っ…うんっ…莉玖っ…」 凪彩が、首に腕を回してしがみ付いてきた 「俺…弟でもいい?」 「おお!早くなれ!」 「~~っ…父さんと…母さんに言う…神谷 凪彩にっ…なるって…言うっ…」 「けど…鳴宮 凪彩を封印なんかしなくていいからな?いっぱい大切な思い出、聞かせろよ」 「んっ…忘れない…大切にする…」 どんななんだろ… 自分が生まれた時から使ってきた名前が変わるって… 喜んでくれてるけど きっと…寂しい気持ちもあるよな けど… きっと、ずっと考えてたんだ 俺の知らないところで 凪彩はずっと考えてて… 出した答えなんだから 絶対 後悔なんてさせない 神谷 凪彩 思いっきり楽しませてやる
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