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合格祝い
「では、凪彩の高校受験、無事合格を祝って、かんぱ~い!」
「「「かんぱ~い」」」
「ありがとう」
凪彩が、嬉しそうにお礼を言う
「これで、莉玖と同じ学校行ける」
「はぁ~…兄弟一緒の学校に通う姿が見れるなんて、夢みたいだわぁ…」
母さんが、ウットリしている
「絶対凪彩は合格してるって思ってたけど、やっぱちゃんと分かるまでは不安なもんだな?」
「うん。俺も、何度も確かめたけど、名前書き忘れてたり、1問ずれてたりとか、分かんないから」
「父さんは、それやったなぁ…」
「え?そうなの?」
「ああ…忘れもしない、高校受験」
……え?
「高校受験で、それやったの?!」
「ああ…最後の問題問いてんのに、解答枠が3つも空白だった時の衝撃。今でも忘れられない思い出だよ…」
「そ…それ、そのままにしたの?!何問かだけ直したの?」
「幸い父さん、頭良かったからさ…」
「は?」
自分で言う?
「あっという間に解いちゃって、見直し時間に、最初から問題解き直してったら、結構早い段階で2問飛ばしてた事に気付いてさ。普通に見直しも出来たよ。いや~冷静な判断出来る男で良かった~」
「何回聞いても凄いわ~。ね?ね?」
いや…
息子に同意求めないでよ
ってか、冷静な男が2問も飛ばさないだろ
「凄い…俺だったら、固まって、見直しも出来なかったかも…」
「んな事ないよ。凪彩、落ち着いてるもん…凪彩、文化祭一緒に楽しめるな?」
「うん!」
可愛い!
だんだん…中川の気持ちが分かってきてしまう
「凪彩、今日もやる?」
「やる」
「んじゃ、俺の部屋行こ」
「うん」
「ちゃんと、お風呂も入るのよ?」
「うん」
「はいはい」
凪彩の受験が終わってから、毎日の様に一緒に遊んでいる
「おりゃ!」
「あっ!今のずるい!」
「へっ。技だよ技」
「じゃあ…」
「あっ!それは、流石にずるい!」
「技だもん」
凪彩は、すっかり名前以外家族の一員で
家族に敬語を使う事もなく
だいぶ遠慮もしなくなった
俺の事も凌久って、呼び捨てになり
弟がどんなのかは分かんないけど
仲のいい友達みたいになった
「なぁ、明日さ、自転車見に行くだろ?どんなのにすんの?」
「どんなの…どんなのがいいかなぁ?」
「そりゃ、カッコいいのだろうけど」
「荷物がちゃんと入るのがいい」
「は?荷物なんて、みんな背負うんだよ。まさか、ママチャリとか買おうとしてんの?」
「分かんないけど…背負ったら夏暑そう」
「そりゃ、暑いけども。北海道も暑くなってきてるけども」
「使いやすいのがいい」
「お前は、オバチャンか」
明日ちゃんと一緒に見てやんないと
父さんも母さんも
凪彩の言いなりにしそうだしな
「くっそ~!もっかい!」
「え~?」
「莉玖~!凪彩~!お風呂入んなさ~い!」
「あ…は~い!」
「やべっ!キレてる。一緒に入るべ」
「うん」
母さんは、兄弟一緒が大好きだ
凪彩と下へ行くと
「もう!何時だと思ってるの!さっさと…あら…2人一緒に入るの?」
「そっ…な?」
「うん。莉玖と入る」
「そ~♪︎仲良く入るのよ♪︎」
「うい~」
「うん」
作戦成功
チョロいな
「せっかくの春休みなんだから、風呂くらい好きな時間に入らせろよな」
「俺達と違って、大人は休みじゃないし、しなきゃなんない事、いっぱいあるんだよ」
「あんな口煩いババァが居る家、初めてだろ?ウザくね?」
「皆大切にしてくれたけど、こんな風にちゃんとは叱ってくれなかったから、ほんとに家族みたいで嬉しいよ?」
「ふ~ん?そんなもんかね~?」
俺は、凪彩に気を遣うのをやめた
俺が気を遣うと、凪彩も気を遣いだして、距離が離れると学習した
蒼渚が最初に会わせた時言ってた意味は、そういう事かと、だんだん理解していった
何故、蒼渚にはすぐに分かるんだ?!
「莉玖…いつも思ってたけど、ちゃんと筋肉ついてていいな」
「俺は、命懸かってるからな?凪彩も一緒に筋トレする?」
「あ…するっ!今からでも、俺にも筋肉つく?」
「すぐにじゃないけど、続けたら、ちゃんとつくよ」
「じゃ、頑張る!」
「おお」
可愛い~
こういう時
やっぱり、友達じゃなく弟って感じする
守ってあげたいって言うか
応援してあげたいって言うか
「凪彩…」
「何?」
「俺、あんまり兄ちゃんが分かんないからさ。ちゃんと出来てる?」
「出来てる!莉玖、凄くいいお兄ちゃん。俺は?弟ちゃんと出来てる?」
「出来てる!すげぇ可愛い弟!…あ…いや、可愛いってのは、弟として可愛いって事で…」
「へへっ…嬉しい」
可愛い 可愛い 可愛い
今すぐ抱き締めたいけど
即、変態兄ちゃん認定だからな
「凪彩、笑う様になったな?」
「……家の外だと…まだ、あんまり…」
「いいじゃん。進歩、進歩」
凪彩の頭を撫でると
「うん…ありがとう」
俺はきっと、そのうち
弟を可愛いがり過ぎて危ない…中川みたいな兄ちゃんに…
なってしまうんだろうな…
だって
どんどん可愛いくなってくもん
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