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「蒼渚、ほんとに大丈夫?」
「大丈夫だ。姉ちゃん達に鍛えられてきたからな」
「でも、俺の体で押し倒したんだから、かなりの衝撃だったはず。一応病院行くか?」
「行かねぇよ。お前が倒れたのは、床までだが、俺は、ソファーから床までの分の衝撃しか受け止めてない。お前こそ右腕からいってたぞ。大丈夫か?」
「…俺は大丈夫だけど…」
う~…
なんで俺、あんな事しちゃったんだ
「とりあえず、何か飲み物でも…」
母さんが、パタパタと台所へ消えてった
「莉玖、さっきの奇行は何だ?」
「うっ…」
「そうだ。何で痛い足で、思いっきり床踏んでたんだ?」
「どういう意味があったんだ?」
聞かないで欲しい
意味なんてねぇよ…
「莉玖、怪我してる足あんな事したら、治るの遅くなるって分かるよな?」
「……はい」
「言うこと聞かない足に、腹でも立ってイラついたか?」
「うっ……その通りです…すいません」
「マジか…」
「ぶあっはっはっはっ!神谷お前、自分の足にイラついて…ぶはっ…自分の足…くっくっくっくっ…ふんっ!つってたぞ?…くっくっ…」
中川…
笑い死ね
「ほんとに馬鹿で、迷惑な息子でごめんなさいね?」
「馬鹿じゃねぇよ!」
母さんが、皆に飲み物を持って来る
「怪我してる足にイラついて、怪我を長引かせる行動取る人は、馬鹿じゃないの?はぁ…そんな馬鹿な理由で下敷きにされたなんて、蒼渚君に申し訳なさ過ぎて…」
「大丈夫です。莉玖の突拍子もない行動は、珍しいものじゃないんで、こんなの朝飯前です」
「さっすが蒼渚君!莉玖を末永く宜しくね?」
「なっ…?!変な挨拶してんじゃねぇよ!」
なんか…
俺が蒼渚んとこに
嫁に行くみたいじゃねぇか!
「おお…神谷、嫁入りか。幸せにな」
「はあ?!黒木!何…」
「いい旦那見付けたな。良かった良かった」
「中川!…っつ~か、蒼渚!黙ってないで、反論しろ!」
「俺は、知っての通り、常に省エネだ。騒ぐのは、莉玖に任せる」
「はあ?!任せるって何だよ!」
って…
元凶の母さん居ねぇし!
「おお…嫁、旦那が任せるそうだぞ?」
「嫁言うな!」
「莉玖だから、りっちゃんかな?嫁」
「りっちゃんなら、幼い頃呼んでたぞ?なぁ?りっちゃん」
「りっちゃん言うな!いつの話だ!」
「莉玖、お母さん、ちょっと出掛けて来るから。皆、ゆっくりしてってね?」
「「「は~い」」」
元凶…
言うだけ言って
退場した…
「んで?ほんとのとこはどうなんだ?りっちゃんと、あ~くん」
「……え?なんで黒木、その呼び方…」
「なんでって、俺達来た時、お互いにそう呼んで、見つめ合って、キスしそうになってたじゃん。な?黒木」
「はあ?!見つめ……キス…」
何言ってんの?!
こいつら
「なるほど…そうだったのか」
「なるほど…そうだったのか…じゃねぇよ!何納得してんの?!蒼渚!」
「いや…それで黒木、来た時、持ってた物落としてたんだなと…」
「まあな。友達同士のキスシーン見せられるとこだった」
「んなもん存在しねぇよ!」
「照れんなって。俺達応援するし」
「照れてねぇし!」
絶対こいつら面白がってる
「莉玖、照れてんのか?」
「は?!照れてねぇって!ってか、何で蒼渚、こっち寄ってくんだよ?!」
「りっちゃん照れてんの、可愛いから」
「「おお~~」」
「おお~じゃねぇよ!遊ぶな!」
ん?
りっちゃん照れてんの、可愛い…
なんか、どっかで聞いた様な…
「りっ…ちゃん…」
あれ?
なんだっけ?
なんだっけ?
なんか…
「ぶっ…!お前…ほんとにして欲しいの?キス」
はっ…!
「んな訳ねぇだろが!」
「いや、俺は笑えないレベルなんですけど」
「俺は笑える~!…くっくっくっ…ぶは~…はっはっはっ!…見た?!神谷の顔!…ひ~~~はっはっはっ…嫁…嫁の顔だったって…」
「嫁の顔って何だよ!」
なんか思い出しそうだったんだけど
まあ、いいか
こんなんで思い出すなんて、きっと…
ろくな事じゃない
「莉玖の頭ん中、どうなってんだろなぁ…」
「それは、こっちのセリフだわ!訳分かんねぇ事すんな!」
「う~ん…ここまでしてもダメとは…」
「何が?!」
怖っ…
何?!
「俺には、お前らの遊びが理解出来ん」
「俺だって理解出来てねぇわ!」
「ひ~~~ひっひっひっ…黒木…今度っ…俺達もやるかっ…くっくっくっ…」
「いや、じゃあお前と絶交だわ」
「絶交!…ひ~~~っ!…くっくっくっ…黒木絶交だって…くっくっくっ…」
中川の頭ん中、どうなってんだろなぁ
こりゃ、愛葵がまともに育たなくても仕方ない
間近に、こんな兄が居るんだから
「莉玖、ちょいこっち向け」
「何で?!」
「意識しまくってんじゃねぇよ。三角巾ずれてっから、直すだけだ」
「~~~っ!意識しまくってねぇし!」
「分かったから、早よこっち向け」
仕方なく、蒼渚の方を向くと
「莉玖、よく1日中そんなに騒いでて、疲れねぇよな?」
三角巾の中の腕を調整しながら言ってくる
「騒がせてんのは、誰だよ?」
「俺は、1時間でへたばりそう」
今度は、三角巾の端をほどいて結び直す
「まあ、蒼渚には無理だな。ってか、なんで蒼渚、こういうの出来んの?」
「何でって、別に、元通りにしてるだけだろが。ほんとに倒れた時、痛くしなかったのか?」
「あんまり覚えてない」
「いや、覚えてないじゃなくて、今痛くねぇのか?って」
足は…
まあ、こんなもんか
肩…
そう言えば
そんな風に聞かれたら
「痛いんだな?」
「なんか…そうかもしんない」
「はぁ…おばさん帰って来たら、痛み止め飲ましてもらえ。そして、2度とあんな馬鹿な事はするな」
「うっ……分かった」
俺だって馬鹿な事したって分かってるけど
蒼渚にそんな風に言われると
益々馬鹿な事したって思わされるじゃん
だってイラついてたんだもん
しゃ~ないじゃん
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