文化祭準備

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「俺は弁当だけど、(はやと)も弁当?」 「おう。んじゃ、この辺で食うか」 は…颯だ~~~~?! いつから、そんな仲になった?! 絶対俺に対抗して、これ見よがしにしてる! 「ムッカつく!」 「莉玖?何がムカつくんだ?」 「………別に!」 「なあ、月川って、広瀬と仲良かったのか?」 「知らね」 無視だ無視 俺が何か言って来ると思ってるんだ くっそムカつくな 「莉玖、大学って決めてんの?」 「…え?大学?いや…まだ全然」 「そっか。さすがに幼馴染みも、高校卒業と共にお別れか」 「へ?お別れ?」 「あ、もしかして同じ大学行くのか?」 「え?いや…どうなんだろ…」 「ま、まだ分かんねぇか」 「……そうだな」 高校卒業と共にお別れ… なんとなく大学も、同じじゃなくても近くとか… そうだよな 全然離れた場所行くのかもしんない そしたら… もう年に何回かとか そのうち… 会わなくなったりするのかな 「……だからさ、本祭当日に……莉玖、聞いてる?」 「……えっ?何?」 「全然聞いてねぇじゃん?」 「悪い…何?」 「……そんな気になんなら、さっさと仲直りして来いよ」 「…は?…別に…気になってねぇし…」 「っそ」 結局、午後からも 俺は真咲と行動し 蒼渚は女装の衣装合わせたり… なんか忙しそうだった 下校時間になり 「んじゃな、莉玖」 「おお、明日な~」 蒼渚は…なんかまだ広瀬と話してる 帰ろ 席を立って歩き出すと 「……だからさ、蒼渚行かね?」 「いや…俺はいいよ」 蒼渚と広瀬の会話が聞こえてくる 「え~?行こって。ちょっと位いいだろ?」 「いや…俺は…」 「んな事言わねぇで、ほら、行くぞ」 「おい、ほんとに俺は行かねぇって」 「だいじょぶ、だいじょぶ~」 「いや、俺は、大丈夫じゃねぇよ」 教室を出て歩き出す 知らね 行けばいいだろ? 下の名前で呼び合う位仲良しなんだから 「ふぇっ……うっ……りっちゃ……」 馬鹿じゃねぇの? ガキじゃねぇんだから 「うっ……うっ…りっちゃん……」 「~~~~っ!…くそっ!」 なんだってんだよ?! 俺はムカついてんだぞ? なんで助けに行かなきゃなんねぇんだよ! 勢い良く教室の傍までまで戻ると 「はいはい~」 と、広瀬に肩を抱かれながら蒼渚が歩いて来る 「蒼渚は!俺と約束があんだよ!」 「え?いや…だって、今日特に予定ないって…」 「あんだよ!何忘れてんだよ?!蒼渚!さっさと行くぞ!」 グイッと蒼渚の手を引っ張ると 「おい、ちょっと神谷…」 「それで?颯は、俺との約束すっぽかして、何処行こうとしてたの?」 「え?!」 え? 振り返ると… 誰?! 知らない奴が、広瀬をめちゃくちゃ睨んでる 「なっ…何処だっていいだろ?!話し掛けて来んな!」 「いつまで、そうやって意地張ってるつもり?」 うっ…今聞きたくないワードNo.1 なんか知らんけど離れよう 「行くぞ蒼渚」 「おお」 駐輪場まで…長い 「莉玖…広瀬は、さっきの奴と喧嘩してたんだ」 「……っそ」 「それで…頼まれて、名前呼んでた」 別に聞いてねぇし すっげぇムカついたけど 「声掛けてくれて、あんがと」 「…別に」 「やっぱ…そんなに喋り慣れてない奴と…さすがに2人で出掛けるのは、ハードルが高い」 「……だったら、もっと困ってる素振りを見せろ」 「…気付いてくれたじゃん」 「俺は分かるけど!もっと他の人にも…」 あれじゃ… 少し困ってる位にしか思ってもらえないだろ 「莉玖じゃないと、気付けないよ」 「俺が居なかったらどうすんだよ!」 「さあ?さすがに、あの頃みたいには泣かないよ」 自転車に乗って家へと向かう あの頃みたいに泣かなくたって 泣きたい気持ちになるんだろが 出会った頃の蒼渚は、いつも泣いてた そして、色んな奴らが苛めに来てた 俺は… 気になって毎日、公園に行った 「莉玖ん家、寄ってっていい?」 「へ?」 「少し…話しない?明日から…文化祭」 「……おお」 こういうとこ…大人なんだよな 俺は…そういうの、上手く言えない 「……で?中川がふざけてんのなんて、いつもの事だろ?何にブチキレたんだ?」 部屋に入るなり本題か 「……べ…別に…」 だって蒼渚… 何とも思ってねぇから 言っても分かんねぇもん 「あのさ…これじゃ、せっかく話し合おうとした意味がないんですけど?」 分かってるよ! 「……言っても…蒼渚には理解出来ない」 「あ?莉玖が理解出来て、俺が出来ないって?」 「聞き返すな!何、信じられねぇ…みたいな顔してんだよ!ちっこい頃の呼び方だよ!」 「りっちゃん、あ~くん?」 「コンビ名みたいに言うな!それ!人前で言うな!」 「そんなに恥ずかしい?」 ほらな? 蒼渚にとっては、どうでもいいんだ 「恥ずかしいんじゃなくて!いや、恥ずかしいけど!それより!」 「それより?」 「……皆に知られたくない」 「は?だから恥ず…」 「あ~くんは、りっちゃんのもんだし、りっちゃんは、あ~くんのもんなんだから、勝手にアチコチで、ベラベラ喋ってんじゃねぇよ!あの頃の俺らに失礼だろが!」 蒼渚が固まった かなり意外な言葉だったんだ 蒼渚にとっては、全然そんなんじゃなかったんだ 「……ああ…そういう…」 「蒼渚には分かんねぇよ!」 「いや…分かる」 「嘘つけ!皆の前で、りっちゃん、りっちゃん言いやがって!」 「今日…中井に、莉玖って呼ばれてんの聞いて……屋台破壊しようかと思ったから」 「えっ……屋台…破壊…」 こ…こ~~っわ! 目…本気の目だ! 「だから…たまたま偶然だったけど…広瀬が、喧嘩中の友達に見せつけるから、協力してくれって言われて、下の名前で呼び合って…少しは仕返しとか…莉玖みたいな事を考えてしまった」 「蒼渚……ってか!俺みたいな事って何だよ?!すっっっげぇ、ムカついたんだからな?!ちゃんと明日から、広瀬と月川に戻せよな?!」 俺がそう言うと… 「ふっ…」 と、蒼渚が笑って 何笑ってんだよ?! って、言ってやろうとしたけど 馬鹿にしてるんじゃなくて なんだか、嬉しそうに笑ってるから 言葉を飲み込んだ 「で?莉玖は、なんで下の名前で呼び合ってたの?」 「さあ?蒼渚と離れてムカついて教室入ったら、中井にすぐに喧嘩してるってバレて…そしたら少し離れてみたら?って、言われて…今日限定で、下の名前で呼び合おうって言われて…」 「…なるほどな。じゃあ、明日は中井にお礼言いに行かなきゃな」 「は?そうなるの?」 「そうなるんだよ。なんで、莉玖には分かんねぇのかな?」 「出た!何でも蒼渚だけ分かってると思うなよ?!」 結局、いつも通り話せる様になって いつも通りに蒼渚は帰って行った 後からゆっくり思い返して 中井の色んな言葉や行動が 俺に色々気付かせようとか 仲直りさせる為のものなんだって ようやく気付いて 結局、蒼渚には敵わないんだって思ったら ムカついた
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