本祭

1/3
前へ
/25ページ
次へ

本祭

「いらっしゃい、いらっしゃい~」 「たこ焼き、いかがですか~?」 「可愛いタコちゃん付いてますよ~」 「好きなトッピング選べますよ~」 客入りは、まあまあ もうちょい入ってくんないかなぁ 「莉玖~!来たわよ~!」 「げっ…声!デカイんだって!」 「たこ焼き屋さんなのね~」 「はっぴ着てんのかぁ…いいなぁ…」 「いいから、早く中入れよ!」 「神谷の父ちゃんと母ちゃんか~?こんにちは~」 「食べてって下さ~い!」 皆寄って来た! 「お前ら群がって来んな!父さんと母さんも、早く入れよ!」 「父さん、母さん…」 「凪彩!あら~…えっと…」 「愛葵」 「そうそう。愛葵君と来たのね?」 「丁度いいな。じゃあ、皆一緒に食べに行くか」 「おお…神谷家、勢揃いか。神谷ほら、ちゃんともてなせ~」 何故…こんな事に… 「凪彩…休憩なのか?」 「うん。さっき、俺のクラスにも、父さんと母さん来て行ったよ」 「そうか…」 既に一仕事終えてたか 「あ!蒼渚君が作ってくれるの?!」 「いらっしゃ~い。何個焼きますか~?」 「おお…蒼渚君、完璧なたこ焼き屋台さんだな」 「蒼渚さん、格好いい…俺と愛葵は2人で10個」 「あいよ~」 「凪彩!俺の方が好きでしょ?!」 何これ… 愛葵が居る事によって注目度が増すんですけど 「おじさんと、おばさんは10個ずつっすか?」 「そうね?余ったら、凪彩達に食べてもらえばいいわね?」 「たこ焼き10個上がり~!凪彩、愛葵、そっちでトッピング聞いて」 「はい」 蒼渚が…ほんとに、本物の人みたいになってる 「莉玖!ぼけっとしてないで、凪彩と愛葵を席に連れてけ!」 「あ…はい」 怖っ… 蒼渚怖っ… 「蒼渚君、素敵~♪︎」 素敵? どうなってんの?感覚… 「はい。水どうぞ」 「凪彩、凪彩、1個食べさせて~♪︎」 「え?えっと…熱いよ?」 「じゃあ、ふ~ふ~して♪︎」 調子乗んなよ?愛葵! なんで、この異常事態を、父さんも母さんも微笑ましく見ていれるんだ?! 「ふ~…ふ~…」 「凪彩…愛葵の言う通りにしなくていいんだぞ?」 「?」 ? じゃねぇんだよ すっかり洗脳されてる 「はい、愛葵」 「あ~…んっ…美味しっ」 「「「きゃ~~っ!可愛い!!」」」 は? どっから出てきたんだ?この子達… 「あのっ…あのっ…写真撮っていいですか?」 「え?」 ダメに決まってんだろ 「凪彩も愛葵君も可愛いからね~。撮らせてあげたら?」 は? 「可愛いく撮ってね?」 愛葵! 「はい!」 はあ?! 「ちょっと…」 パシャ パシャ 「私もいいですか~?」 「私も!」 いや… モデルじゃねぇんだから! 愛葵! 更に調子に乗って、凪彩にくっ付くな! 「ちょっ…」 「神谷!一気に大盛況だ!」 「は?」 「ちょっと、こっち手伝って!」 振り返ると 「はあ~~?」 いつの間に出来てたんだ?この行列! 「こっち側に並んで下さいね~。神谷!」 「おお!…えっと…はい、こっちでトッピング選んで下さいね~…あ、こっちの席空いてますよ~!」 何だこれ? 何でこうなった? …って…凪彩と…何より愛葵のせい! ベタベタ ベタベタくっ付きやがって 「はい…水で~す」 ベタベタ ベタベタ 「いらっしゃいませ~」 ベタベタ ベタベタ ベタベタ 「うぉい!凪彩にくっ付き過ぎだ!」 あ… ヤベっ… 教室中が凍りついた 「あ…いや…」 「莉玖ったら、愛葵君にヤキモチ妬いちゃって~」 「へ?」 「ヤキモチ妬いたお兄ちゃんも、一緒に撮ってあげて~」 「は?」 「「「はい!」」」 パシャ パシャ 「いや…ちょっと…」 「莉玖…ほんと?」 「え?」 凪彩の隣にしゃがむ 「ヤキモチ…妬いてくれたの?」 「なっ?!…い…いや…」 「お兄ちゃんなんですか~?」 「いっ?」 「はい。俺のお兄ちゃん」 「…っ!」 お兄ちゃんって…言った 凪彩に… お兄ちゃんって言われんの ヤバい 「凪彩!俺の方が好きでしょ?!」 「え…」 「あ!そんな、くっ付くなって愛葵!」 「わっ…」 「凪彩、取らないでよ!莉玖!」 「うわっ…」 「おい!大体お前、年上に呼び捨て失礼だぞ!」 「どっ…どっちも好きだから…喧嘩しないで」 「ありがとうございました~」 「凪彩君と愛葵君もありがとね~」 「凪彩君、愛葵君、こっち向いて~」 「きゃ~~!」 ようやく出て行った… 凪彩達にはまだ、女の子達が付いてってるが… 「……つ…疲れた……」 「お疲れさん、神谷。売り上げに貢献してくれたから、休憩していいぞ~。月川も疲れたろ。休憩入れ~」 「おお」 「つっ…かれた~~…」 「俺も疲れた」 蒼渚と、カレーライスを売ってるクラスに入りバクバク食べる 「母さんが来ると、ろくな事がない」 「んな事ないだろ。うちのクラスの売り上げ、すげぇ事になったぞ」 「それはまあ…そうかもしれないけど…」 「それに莉玖…凪彩に、お兄ちゃんって呼ばれて、すげぇ喜んでたじゃん」 「んなっ?!…ちっ…違っ…」 「良かったな?お兄ちゃん」 「お兄ちゃん言うな!」 くそっ… 蒼渚は焼くのに忙しくて見てないと思ってたのに しっかり見られてたのか それにしても… 「蒼渚…お前、たこ焼き焼いてる時…なんか別人だったぞ?」 「そう?」 「悪い事は言わないから、絶対たこ焼き職人にはならない方がいいと思うぞ」 「安心しろ。そんな、選択肢はない」 「……愛葵の奴、調子に乗りやがって」 「皆、微笑ましく見てたじゃねぇか」 「信じらんね~」 普段から教室でも、あんな事してんのか? 「ヤキモチ妬いてた莉玖も可愛いかったぞ」 「っ!笑ってろ!」 「まあ、俺達としては、神谷一家と愛葵に感謝だけどな」 「あそこで撮った全ての写真を消去したい」 「カレーライス旨いな」 「あ?ああ…」 ここは平和だ 静かな空間で 旨いカレー これでいいんだよ
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加