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クラスに戻ると
「神谷君~~」
「あ?」
「帰って来たか!待ってたぞ!」
「何で」
「今すぐ!お前の弟と、そのお友達を連れて来てくれ!」
「は?普通にやだけど?」
せっかく皆居なくなったのに
なんで自ら…
「んな事言うなって~」
「SNSにね、神谷君達の写真載っけた子が居てね?皆、会いたいって来るのよ~」
「は…はあ?勝手に載せんなよ!」
「勝手じゃねぇな。神谷の母ちゃん、どうぞ、どうぞ、つってたぞ」
「はあ?!」
あのババァ!
「あっ…お兄ちゃんじゃない?」
「ほんとだ!お兄ちゃんだ!」
「どうする?お兄ちゃんだけだけど撮らせてもらう?」
「お兄ちゃん、連れて来てくれないかな」
お兄ちゃん、お兄ちゃん、うるせぇな
どこの兄ちゃんだ?
「すいません!」
「…は?」
何人かの客(女子)が、俺達のとこに来る
「あの…」
「あ、俺今休憩…」
「一緒に写真撮らせてもらっていいですか?」
写真…
俺の顔見てるぞ?
「お…俺?」
「はい!」
「……何で?」
「お兄ちゃんですよね?」
「は?!」
俺は凪彩以外の兄ちゃんになった覚えはねぇぞ!
と、思ってたら
スマホの画面を見せてくる
「この…弟君達は、今居ないんですか?」
そこには…
凪彩と愛葵と俺の写真
その下に
ナギ君とアキ君超仲良し♡
お兄ちゃんヤキモチ妬いちゃった♪︎
「んなっ…なん…」
「と、いう事だ。神谷…さっさと、最低でも弟君を連れて来い」
「え?えっ?!連れて来てくれるんですか?!」
「え…いや…」
「きゃ~~!ラッキー!」
「来て良かったね~」
いや、ちょっと…
誰も連れて来るなんて言ってねぇし
「おら、さっさと行って来い!」
「ちょっと…!」
教室から押し出された
ってか、凪彩と愛葵の名前まで教えたんか?
あのババァ!
「はあ?ふざけんなよ!」
「まあ、皆、ふざけてはいないわな」
「なんで、こんな目に…」
「…莉玖が、ほんとに嫌なら断ってもいいと思うけど?」
「…え?」
びっくりして蒼渚を見ると
「ふざけてはいないが、祭りで浮かれた気持ちにはなってるからな。クラスの奴らも、さっきの子達も。けど、莉玖にだって、文化祭楽しむ権利あるからな」
楽しむ権利…
祭りで浮かれた気持ち…
そうだよな…
文化祭だから
いつもと違う感じを
皆楽しみに来てるんだ
「いや…ま…そんくらいで?皆が楽しいんなら?凪彩が嫌じゃなければ?」
「ほう…莉玖、大人になったな?」
「頭撫でんな!子供扱いすんな!」
「あの~…凪彩居ますか~?」
「あ…ちょっと待って下さい。鳴宮~!兄ちゃん来たぞ~!」
「莉玖…?」
「おお、凪彩…ちょっと相談なんだが…って…愛葵は、何でいつも隣にくっ付いてんだ?」
「いいでしょ」
「はぁ~…」
ま、連れてくには好都合か?
「……と、いう訳なんだけど、これから抜けたらヤバい?」
「どうだろう…ちょっと聞いてみる」
凪彩が…凪彩と愛葵が、教室の奥に行って話をすると、戻って来る
「全然忙しくないから、行ってクラスの宣伝して来いって言われた」
「うわ…凪彩のクラスの奴らも、なかなかだな……んで?愛葵も一緒に行くのか?」
「当たり前でしょ」
「まあ…いいんだけど」
全然タメ口直ってねぇんだけど?!
そして再び、自分のクラスへ戻ると…
「混ん…混んでる!何?この行列?!」
「きゃ~!来た!」
「来た~!すご~い!」
「あ!神谷く~ん!早く早く!」
俺ら待ちかよ?!
すぐに、俺らんとこに群がって来る
「写真撮らせてもらっていいですか?!」
ま、しょうがない
「い…」
「俺達のクラスにも行くって約束してくれたら、いいよ」
「いっ?!」
なんか、愛葵が勝手な約束し始めたけど?!
「行く行く~!そしたら撮っていい?」
「いいよ」
何こいつ…
怖っ…
こんなの
うるさくて、面倒で…
けど…
「きゃ~!撮っちゃった!ありがとうございます!」
「はいはい~」
そんな嬉しそうにされたら
やっぱ、楽しんでもらえて良かったとか
思っちゃうじゃないか
結局、俺のクラスは、ずっと大盛況
ついでに、あれから凪彩達のクラスも、えらい繁盛したらしい
蒼渚の女装コンテストは
第3位という無駄な功績を残し
文化祭は終わりを告げた
チャポン
「あ~…終わった、終わった~」
「終わっちゃったね?」
「寂しいか?」
「うん…あの行灯、ほんとに全部壊しちゃうの?」
「おお。全部綺麗さっぱりな」
「勿体ないね…皆で一生懸命作ったのに…」
まあ…
気持ちは分かる
展示スペースでもあるなら
取っておきたいとも思う…が…
「ずっと飾ってたからって、ずっと見に行っても、文化祭中みたいな気持ちにはなれないと思うな」
「……そっか」
「あの期間だから、あんな気持ちになれる。逆に、あんな気持ちで見れないのに、飾っとくのもな…祭りの終了と共に、一緒に作った皆で壊す…それも、なかなかいい思い出なんじゃね?」
そんな事考えた事なかったけど
単に、邪魔だから片付けるんだろうけど
「……そうだね?花火と同じだね?消えちゃうから…ある時の思い出が、凄く大切になるんだね?」
「まあ…そうかな」
「うん…俺は…沢山の人や場所や物と…お別れしてきたから…出来るなら取っておきたいって思っちゃう。でも…取っておくだけが、いいんじゃないんだね?」
「凪彩…」
そうだ…
凪彩は、沢山…
「でも…クラス片付けて、行灯壊して…全部無くなっても、凪彩ん中に、皆で頑張った1週間も、前夜祭と本祭の色んな事も、残ってるだろ?」
「うん」
「今までの人達も…ちゃんと覚えてんだろ?」
「うん」
「じゃあ、それが1番大切なんじゃね?」
「うん!」
凪彩が、にこっと笑う
「俺は、凪彩と話するまで、あんまりそういう事、ちゃんと考えてなかった。けど…凪彩は、俺よりそういう大切な事分かってる。きっと俺より、色んな事大切に出来てる。大人になってから、思い出す事も…きっと皆より多いと思うぞ」
「うん……莉玖…」
「ん?」
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