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事故
「行って来ま~す!」
「行って来ます!」
「気を付けて、ちゃんと信号止まるのよ~!」
「毎日毎日、うるっせぇな?」
「毎日毎日、心配してくれるの、嬉しいよ」
「っかぁ~?気をつけろっても、歩道はダメ、車道は危ねぇって、自転車乗ってて、安全な場所なんかねぇよな?」
「もっと、自転車専用道路、作って欲しいね?」
「うぃ~っす」
「おお蒼渚、今日もテンション低いな」
蒼渚は、普段からあまり感情豊かではないが、朝は更にローテンションだ
3人で学校へと向かう
朝は、登校する小学生と、自転車と、車とで、道路はごちゃごちゃだ
しかも、若干急ぎ気味だから、自転車も車も、無謀な運転が目立つ
凪彩は、自転車通学なんて初めてだし、こっちの道あんまり知らないから
こっちの車の運転マナー悪いって言われてるし
早めの時間に出て、無理しない様に気をつけるけど
「あっ…ぶねぇな!右折車のくせに、突っ込んで来んなよ!」
皆も、もっと早めに家出ろよ!
犯罪者になんぞ!
向こうも気をつけてくんないと、意味ない!
「莉玖、お前車運転したら、沙弥姉みたいになるタイプだな」
「は?あんな女と一緒にしないでくれる?」
「あんな女って…俺の姉なんだけど…」
お前がしっかり管理しないから
お前の姉なのに、俺に攻撃しかけてくんだろが!
いくつもの信号と、小路から出て来る車
いつも、たいして気にしてなかったのに
凪彩が一緒だと思うと、心配でしょうがない
やっと、学校が見えてきた
帰りはいいんだ
朝の車の運転が酷過ぎる
って…
横断歩道を渡ってると
左折車が、止まりもしないで、突っ込んで来る
危ないっ!
「な…凪…」
ドンッ!
「……!……!」
プップー
ん...
あれ?
何だっけ?
「莉玖!莉玖!!」
「おい、莉玖!分かるか?!」
え?
パチッ
「莉玖!…大丈夫?!」
「分かるか?莉玖」
「あれ?何だっけ?…なっ…なんで凪彩、泣いてんの?!」
プップー!
「あのっ…大丈夫ですか?」
「え?……え?……あっ!俺…車にぶつかったのか!」
「すいません…怪我…大丈夫ですか?ここ、危ないので、とりあえず歩道に避難しましょう?」
この人が…
運転してたのか
もっと、じいちゃんとか、ばあちゃんだと思ってた
「あ、はい…っ!…ってぇ~!…っ!」
足も痛ぇけど、肩!
肩ヤベェ
「莉玖!何処痛いの?!」
「とりあえず俺、莉玖の自転車退けちゃいます」
「ちょっと…ごめんね…」
「え?…うわっ!」
ヒョイと、肩に担がれた
俺…結構鍛えてるぞ?
高校生だぞ?
この人…そんなマッチョでもなさそうなのに
歩道まで横断歩道を渡り切ると
「ちょっと…ここに下ろすね?」
「はい…ってって…」
「ほんと、すいません。あの、救急車呼んでいいですか?」
「いっ?!救急車?!」
俺、救急車乗るの?!
「俺が病院運んでってもいいけど…車乗るのも大変そうだし…」
「確かにな。一応少しの間、気失ってたし」
「い…いやいやいやいや!こんな喋れる奴が救急車とかダメだろ!」
「莉玖っ…莉玖っ…何処痛いの?」
なんで凪彩、そんな泣いてんの?
びっくりし過ぎて?
そうなの?蒼渚…
蒼渚?
「蒼渚…大丈夫か?」
「それは、こっちのセリフだ」
「俺は大丈夫だ。お前、震えてる」
「そりゃ、あんなもん見たら驚く」
「そうなの?俺は見てないからな…」
「呑気な奴だな…気絶してたんだぞ?」
数秒だろ?
大袈裟だな
「あの…救急車…呼んでいいですか?」
あ…忘れてた
まあ…
考えてみたら、この人も青ざめてるし
運転したくないかもな
タクシー…
こんな時どうなの?
もう分かんねぇ
めんどくせぇ
「じゃあ、お願いします。断られるかもしれまけんけど」
「分かりました」
普通に救急車が来てくれるらしく
待つ間、蒼渚が学校へ連絡し
凪彩が家に連絡したけど、まともに話せなくて、自分で話した
車運転してた人も、警察と、俺に、すいませんと断って…多分会社に電話してた
自業自得だけど、お気の毒…
母さんは、びっくりしてたけど、俺が元気に話してて、安心したらしい
肩から手先にかけて、痺れるし
クソ痛ぇけど
それより凪彩だ
どんどん顔色悪くなってく
「凪彩、大丈夫だぞ?ちょっと手足が痛いくらいだ。びっくりしたな?」
左手で頭を撫でると
「あ…莉玖……ごめん…俺のせいで…」
「凪彩のせいな訳ないだろ?何言ってんの?」
「でも…莉玖、あの時…俺の自転車押した…ほんとは俺が…」
「凪彩がそうしてくれって頼んだ訳じゃないだろ?俺が勝手にやった事だ」
ピーポー ピーポー
救急車到着
さすが早い
「大丈夫ですか?!」
とりあえず、その場で色々調べられ
担架で救急車に運ばれる
すげぇ
宙に浮いてる
「莉玖っ!…うっ…莉玖っ!」
感動してる場合じゃなかった
「あの…あの2人は一緒に行けますか?」
同乗者は1人
凪彩を連れてってやりたいけど
多分、1人で待たせる事になるし
「蒼渚!凪彩の事、頼んでいい?」
「任せろ」
「凪彩、母さんも病院来ちゃうだろうから、蒼渚のとこ居て」
「莉玖!…~っごめんなさい!…~っごめんなさい!」
「だから、凪彩のせいじゃないって」
運転してた人は、警察も来て、残らなきゃならないとの事で
意識もしっかりしてるしと、病院も決まり誰も同乗せずに出発する事となった
「あの…親に病院教えます。スマホ取ってもらえますか?」
これでよし
「じゃあ、出発しますね?」
「あの…外の子…まだ泣いてますか?」
「ああ…泣いてますね…弟さんですか?」
「はい…弟と親友なんです」
救急車の乗り心地は最悪で
ガタガタと揺れる度に、肩外れるんじゃないかと思った
「…~っ!」
「痛いですか?もう少しで着きますからね」
「っはい…」
早く着いてくれ~!
着いたら着いたで
別のベッドに移され
「…うっ!」
いってぇよ!
絶対これ、外れてた!今外れた!
痛み止めしてもらって、少しすると
あ…なんか楽になってきたかも
けど!
あれやこれやいじられて
また、痛くなるよ?これ!
ってか、
手と足以外痛くないのに
身ぐるみ剥がされ…
なんで?!
ヤメテ
胸も腹も、何ともないってば!
皆でジロジロ見ないでよ
お年頃だぞ!
「いっ…!」
どうやら足もガッツリ捻ったらしい
そして、レントゲンで
何枚も何枚も撮られ
その度に肩を…足を…動かされ
しばらく静かになったので、ウトウトしてたら
なんとかって、難しい検査するからと
また、その検査台に動かされ…
人って、痛いと、どんどんイライラしていくんだ
うるっせぇ音のする検査は、結構な時間横になったままで
また少しウトウトし始めたところで起こされ
またベッドに移動させられ
ブチキレそうになった
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