事故

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最初に来た処置室みたいなとこに戻った時には、もう痛みとの闘いでクタクタだった 「お疲れ様。痛み、強くなってきました?」 看護師さんが聞いてきた すげぇ痛そうな顔してたかな 「結構…痛いです」 「痛み止め、使いますね?」 「お願いします」 痛み止め、使いますね? なんて、素晴らしい言葉 「失礼します。じゃあ、座薬挿すので、横向きにしますね?」 「……え?」 座薬って…言った? 「右は痛いので、左向きになりましょう」 「や……いや!…座薬じゃないのがいいです!!」 「え?」 「…~~~っ!」 なんか… 逆に恥ずかしくなった! 「あ…分かりました。先生に確認して来ますね?」 「~~~っ!」 看護師さんは、笑わないでくれたけど 俺はもう… 恥ずかし過ぎて、何も言えなかった ただ… 別のにしますじゃなく 確認して来ますってとこが 気になってしょうがなかった 「失礼します。あの…肩に筋肉注射になるので、少し痛いですが大丈夫ですか?」 「だっ…全然大丈夫です!…すいません…」 「いえ。じゃあ、左腕消毒しますね~。ちょっと痛いですよ~?」 いっってぇ~! 何?! 座薬拒否した俺への罰なの?! けど! 座薬挿されるよりマシ 「少し、ぼーっとするかもしれませんが、薬のせいなので、大丈夫ですからね?」 「はい…ありがとうございました」 ぼーっと? 痛み止めで、ぼーっとすんのか じゃあ、まだまだ帰れないって事? でもまあ、いいや もう疲れた 眠りたい ちょうどいいや 凪彩…大丈夫かな 蒼渚も…しっかり動揺してたしな ほんとだ… ぼーっとだ、これ… ようやく…眠れる…… 「莉玖、ほんとにもう…あんた、電話で全然大丈夫そうに話すんだもの」 「痛かったろ?家帰って休もう?」 母さん… 父さんまで来たのか ちょっと眠くて喋れない でも… 凪彩の事伝えなきゃ 「……凪彩…」 なんて言えばいいんだっけ? 全然頭働かない ぼーっとしてるんだから、しょうがない 薬のせいだから大丈夫 大丈夫だけど 凪彩は大丈夫じゃないんだよ 「……凪彩…大丈夫…じゃ…」 ないから 早く連れて来てやって 「凪彩は大丈夫。心配した蒼渚君が先生に言って、家に連れて帰ってくれたの。家で蒼渚君と待ってる」 「……蒼渚…」 凪彩と一緒に家に居てくれたんだ 流石… あいつら心通じ合ってるだけある 凪彩の事確認したら ほっとして、また眠りに就いて 何となく…病院出たのは分かったけど 家に帰ったのは全く覚えてなかった 「……っ……っっ……っく……っ……」 「もう、泣くな。莉玖が起きて、凪彩が泣いてたら、心配するぞ?」 凪彩… まだ泣いてんの? 「……っ…蒼渚さんっ……どっしよっ……またっ…俺のせいっ……」 また? またって何? 「違う。凪彩は関係ない。そんな風に考えんな」 蒼渚は… 分かるの? 「……っ…でっ…でもっ……だって…俺が居なかったら…~っ!」 「おいで…凪彩」 「~っ!蒼渚さんっ…どうしよっ…俺っ…俺っ…」 「大丈夫。莉玖は、薬で寝てるだけだって言ったろ?起きたら、いつも通りの莉玖だよ」 「俺がっ…来たからっ…関わっちゃったからっ…」 凪彩が来たから? 関わっちゃったから? 何の話してんだ? どういう事? 「違う。凪彩は関係ない。関係ないよ。大丈夫。凪彩、莉玖は大丈夫。そして、これからも、俺達ずっと一緒だ」 「~っ…俺っ…居たらっ…」 「居るんだよ。一緒に居るんだ。大丈夫。大丈夫だから…」 夢…なのかな 凪彩泣いてたの気にし過ぎて 蒼渚…一緒に居てくれるって言ったから でも… 夢でも凪彩が泣いてんのは、やだな 蒼渚…早く泣き止ませて 「凪彩、すぐに泣き止める、とっておきの方法教えてやる」 おお…流石蒼渚 「…ひっく…何っ…ですか?」 「……キスだよ」 え? 「え?…あ…んっ!…ん…蒼渚さ…はっ…んっ!」 は? 「蒼渚さ…やめっ…」 「泣き止んだ?沙弥姉がキスされてんの見た時から、キスしたいって思ってた」 ええ~~~っ! ヤメロ! 姉弟揃って、何やってくれてんの?! 絶対沙弥姉のせいだ 蒼渚、こんな事する奴じゃなかったのに 長年傍に居て毒されたんだ 「蒼渚さっ…んんっ!…はっ…蒼渚さ…」 「もっと…はぁ…名前呼んでよ」 「蒼渚さん…んっ…はぁっ…蒼渚さん…んんっ!…~~~っ!」 ヤメ… ヤメロ! ヤメロ!ヤメロ!ヤメロ! 目を… 「目を覚ませ~っ!!」 あれ? ずっと声出なかったのに、すげぇ出た ……って 「あれ?」 あっ…夢か …って 「うわぁ~~~っ!…いっ!…てぇ~…」 夢かと安心して 横を見た途端 蒼渚と抱き合って泣いてる凪彩が目に飛び込んだ 夢じゃない?! こいつら… 今、ここで… キ…キ…キスを…… 「大丈夫か?目覚めた途端騒がしい奴だな」 「莉玖っ…莉玖っ…」 2人が離れて、凪彩が俺の元へ来る 「な…凪彩!お前…お前今…」 何してた?! されてた?! バタバタ バタバタ ガラッ 「莉玖、目が覚めたの?」 「おお…莉玖、大丈夫か?」 なんか…軽いな… 「俺は、大丈夫」 凪彩を見ると、 「凪彩、ずっと泣いてるの。蒼渚君の傍が1番安心するみたいだから、傍に居てもらっちゃった」 居てもらっちゃった じゃねぇよ キスされてんぞ?! 「もう15:00だけど、ご飯食べる?」 「………え?…は?15:00?!」 俺、学校行く時事故ったんだぞ? もう…学校終わる時間 「午前中いっぱい検査して、帰って来たのがお昼済んでたから。帰って来てからも、あんたずっと寝てたのよ」 「痛み止め効いたみたいだな。痛くなったら飲めって、薬貰って来たぞ?」 「……そうなんだ」 なんか…タイムスリッブした気分 浦島だ… あれ? 「父さん…仕事は?」 「お前が事故って、まだちゃんと目も覚ましたとこ見てないのに、仕事なんかしてたら、父さんが怪我する」 「……そっか…悪い」 「…~っ…悪いのはっ…俺だからっ…」 凪彩… 「お前、事故ってからずっと泣いてんの?もう目真っ赤。腫れ上がって大変な事になるぞ?」 「っ…っく……俺…莉玖のお世話っ…するっ…からっ……何でも言って…」 何言っても、自分のせいだと思っちゃうんだろな 「うし!凪彩は、俺の右腕代わりだ。よろしく~」 「あっ…うん!何でもする!」 ちょっとマシな顔になったか
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