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1階の客間に寝かされてたらしい俺は、皆の力を借りてリビングへと行き、ソファーに座った
父さんは、俺が元気に目覚めたのを確認すると、どっかに簡易ベッドあるからと、探しに行った
母さんは、何か少し食べなさいと台所へ
「蒼渚…凪彩の傍に居てくれて、ありがと」
「おお…1人にしとけなかったから、学校勝手に休ませた」
「ん。ここで、蒼渚と待ってた方が安心だったよな?」
「…っ…んっ…」
ようやく、ちょっと泣き止んできた
それより何より
確認しなければならない事があるのですが?
「蒼渚…ちょいちょい」
「ん?」
指で蒼渚を近づける
「俺が目覚めた時、凪彩と何してた?」
「……質問の意味が分からん。凪彩を慰めてたが?」
「どうやって?」
「……どうやってって…凪彩、おいで」
「っ…うっ?…っ…」
蒼渚に呼ばれると、凪彩が、蒼渚の胸ん中に吸い込まれてく
「こうやって」
「っ…っ…?」
なんか…
しっくりくるな
え?
たまに抱き合ったりしてんの?
そういや
初めて会った時も抱き合ってたっけ?
「…で?」
「で?…って何?」
「その後だよ。何した?」
「この後?お前が目覚めたんだろ」
シラッと答えやがって
そんな嘘吐く子じゃなかったでしょ!
「あら~♪︎凪彩、蒼渚君に甘えてたの?」
「?…うんっ…?」
「良かったわね~♪︎はい、莉玖。右手使えないから、蒼渚君か凪彩に、食べさせてもらうのよ?」
一気に超機嫌良くなった
仲良しは、兄弟じゃなくてもいいんかい!
ってか、左手で食えるわ!
「んで?俺達はもう離れてもいい訳?」
「いい…が……何?蒼渚、凪彩の事…」
凪彩が、ウルウルとした瞳で見てくる
「凪彩の事?…何?何度も言うが、莉玖から凪彩取ったりしねぇから、心配すんな」
「あ?別に…そんな心配してねぇし」
「っそ?じゃあいいけど…凪彩、危ない兄に、サンドイッチ取ってやれ」
「危ない…?」
「危なくねぇよ!危ねぇのは……」
お前だよ!
凪彩が、恐る恐る?
俺にサンドイッチを渡す
「……何?なんか、言いたい事あんなら、さっさと言ってくんない?」
「お…お…お前…」
「何」
「な…凪彩に…」
「凪彩に?」
チラッと後ろを振り返り…
母さんは、晩ごはんの支度を始めた様子
「凪彩にキスしただろ!」
小声で確認すると…
「……は?夢でも見たか?欲求不満の兄」
「欲求不満の兄じゃねぇわ!人の弟、姉弟揃って、誘惑すんな!」
「してねぇし。沙弥姉だって、別にしてねぇし」
「嘘つけ!俺は聞いてたぞ!凪彩が、俺のせいだから、どうしようどうしよう泣いてて、蒼渚が、関係ないから大丈夫だとか、訳の分からない話してて…」
ん?
凪彩が…固まってる!
「凪彩、びっくりしたよな?」
「…あ…あの…俺……」
「ほら見ろ蒼渚、凪彩が固まってるじゃねぇか!」
「いや、固まってるけども…キスなんてしてねぇし」
「凪彩、蒼渚の近くに寄るんじゃありません!こっちおいで!」
左手で、凪彩をグイっと引き寄せると
ビクッ!
え?
「あ...ごめん。いきなり」
「…ううん…莉玖……あんまり…俺に…近づかないで…」
「……え?何それ?どういう…」
「凪彩…」
……え
ええ~~~?!
ちょっと待って
ちょっと待って
一旦落ち着こ?
俺が凪彩を引き寄せたら
凪彩が俺に近づかないでと言って
蒼渚が凪彩に声を掛ける
これ…
出来上がってんじゃね?
蒼渚が無理矢理キスしたとかじゃなくて
キスする関係
出来上がってんじゃね?
え…
どうすればいいの?
俺は、兄として…親友として…
どうするべきなの?!
弟と親友が恋人同士になった時の
正しい反応は?!
「ぃ…ぃぃいつから…そう…なった」
「…いつからって…凪彩…」
蒼渚が、声を掛けると
凪彩が、ぶんぶんと首を振る
俺にバレたくないのか
まあ…
気持ちは分かるけど
「き…気のせいじゃないとかじゃなくて?」
初めて、心開いた奴だから
勘違いとか…
「きっ…気のせいじゃ…ないもんっ…俺だって……気のせいって……思いたいけどっ…!」
「……凪彩…落ち着け」
蒼渚が、抱き寄せて
背中をポンポンとする
「…ごめん…えっと…ちょっとびっくりしたけど…その…2人が思い合ってるならいいんだ。その…キ…キスだって…2人が、ちゃんと、す…好き同士なら…別にいいんだ…だいぶ…衝撃的だけど…」
凪彩が
そんなに悩んでたなんて…
全然気付かなかった
「………あ?莉玖、お前…何の話してんの?」
「は?何の話って、蒼渚と凪彩が…その…付き合ってるって話だろ?」
「……はぁ~…莉玖なのに、いやに話分かるなと思ったら、そういう事か」
「莉玖なのにって何だよ?!」
「おかしいながらも、会話成立してんのが凄ぇな」
「あ?言ってる意味が分かんねぇ」
凪彩は、もう話す気がないらしく
蒼渚の胸ん中から出て来ない
なんで、兄ちゃんじゃねぇの?
ここに、兄ちゃん居るけど
好きな男の胸がいいんか?
「俺は、凪彩の頼れるパイセンで、凪彩の兄の親友だ。以上」
「兄の親友の、頼れるパイセンが、弟と…そういう関係になるって話だろ?」
「ならねぇよ!どうなってんだ?お前の頭ん中」
「はあ??だって凪彩、俺に近づくなって言って、お前に抱き付いてるぞ?」
「事実はそうだが、真実はそうじゃない。ほら凪彩、兄ちゃんが、とんでもない誤解してんぞ」
蒼渚が声を掛けると
蒼渚の胸の中から俺を見て
「…俺に…近づくと……良くない事起きるから……俺に…近づかないで…」
近づくと、良くない事起きる?
「凪彩…お前、そういう本とか見たの?呪いがかかっちゃう系とか?」
「…見てないっ…見てないっ…けどっ…俺っ…そういう奴っ…だからっ…~っごめん」
「凪彩……お前…もしかして…中2病なのか?」
「…中2…病?」
そうだ
中学入ってから、親戚を転々として
ゆっくりと、学生生活楽しめなかったんだ
今頃そうなったって、おかしくない
かなり…現実味を帯びてるけど
「分かった、分かった。俺、結構そういうの好きだから」
「……え?」
「そうだなぁ…呪いかけたけど、この程度の怪我なら、上手くかけれなかったんだろ。今頃、呪いかけた奴に返ってるよ。呪詛返しとかいうやつ」
「呪詛…返し?」
「そ。人を呪うのは、すっげぇリスク高いんだって。ちゃんと成功しないと、自分に返ってくんの。俺なのか、凪彩になのか知らねぇけど、今頃そいつエライ目に合ってるから、もう安心しろ」
なんだ、なんだ
俺を心配してたのか
呪い?を怖がって
可愛い奴め
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