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「ふっ…だ、そうだぞ?凪彩。莉玖の運の良さで、悪運運んで来る奴、やっつけてくれたってさ。良かったじゃん?」
「…蒼渚さん…」
「そんな顔すんな。馬鹿な兄貴の話に乗っとけ」
「は?!俺が凪彩の話に乗ったんだっての!」
俺が中2病みたいじゃん
「凪彩、言霊ってものがあるだろ?何度も言ってるうちに、ほんとに起きるんだって。言ったろ?この家の人達、とんでもなく運がいいの。凪彩は、敵わねぇの」
「……でも…俺を庇って…莉玖は怪我して…」
「そんなの、兄弟なら当たり前なんじゃねぇの?」
「…兄弟…当たり前…」
2人の会話…
凪彩のせいで怪我したって思ってしまうのは分かる
が…
なんか話の内容が…
よく分からん!
「なんか!よく分かんねぇぞ!俺の家が運がいいとか、何の話だ?!」
ガチャ
「お~い!ベッド貰って来たぞ~!」
父さんが、会社の人と一緒に戻って来た
答え聞いてないのに
タイミング悪い
「まぁ~!随分立派な…」
「いや~。うちのばあちゃんが使うって買ったんですけど、そのすぐ後に転んで入院。そのまま施設入る事になっちゃいまして…捨てるのは勿体ないけど、家も片付けちゃうそうなので、役立ってもらえるなら何よりです」
なんだか騒がしくなってると
ピンポ~ン
「は~い!」
どんどん騒がしくなっていく
凪彩は、なんだかスッキリしない顔で
若干俺より蒼渚の近くに居るし
何な訳?
「いえいえ、どうぞ上がって上がって」
げ、また誰か入って来る
母さん、晩ごはんの支度はどうした?
「あ…あの!」
ん?誰…
振り返ると
「この度は、誠に申し訳ございませんでした!」
ええ?!
土下座してる!
「顔、上げて下さい。びっくりしたでしょうけど、あの子全然元気ですから」
「いえ!たまたまですから!俺がちゃんと確認しなかったせいで…もしかしたら、もっと酷い怪我してたかもしれません!ほんとに、すいませんでした!」
うわぁ…
こんな怪我で、そこまでされると…
「あら…これは…もしかしてチッチャンの…」
「あ…こんな物…要らないでしょうけど…」
「マカロン?!チッチャンのマカロン?!」
チッチャンパスティッチャン…
っちゅう訳分からん名前のケーキ屋のマカロン…
母さんの大好物だ
「はあ…あの…マカロンです…」
「皆さ~ん!チッチャンのマカロン来ました~!食べましょ食べましょ!」
「え…あの…」
母さんは、ウキウキと、マカロンを持って台所の方へ消えてった
ちょっと…
その人、引いてるじゃん
「あ~っと…あの…ご覧の通り、あの子も元気ですし、あの子が元気なら、私達もそこまで
気にしてないので…」
父さんが、見ていられず近寄ってった
「いえ…もしかしたら、息子さんを…歩けなく…とか、最悪…~っ!」
「最悪は起きませんでした。沢山ある可能性の中で、皆で笑っていれる結果でした。その奇跡に、素直に感謝しましょう?」
「~~っ…すいませんっ!すいませんでした!」
こんな怪我でも
こんな風になるんだ
事故起こしたからって
すげぇ悪い奴な訳でもなさそうなのに
なんか…車の運転すんの、ちょっと怖くなった
「あの…ほんと俺、たいした怪我じゃなかったし、あんまり気にしないで下さい。びっくりしたけど、絶対肩外れてると思ったけど、大丈夫そうだし、こんなんすぐ治りますよ?」
「でもっ…結果論だから…」
「結果以外の事考えたら、キリないっすよ?」
「…え?」
「俺、今回の被害者なんで、今の結果だけ考えてくれればいいんじゃないっすかね?」
「さあさ!マカロンとお茶入りました~!ちゃくせ~き!凪彩、そっち持ってって」
凪彩が、母さんに呼ばれ
父さんに連れられて、その人は、母さん達の近くに座らされ
何故だか、その人と、父さんの会社の人と
皆で、晩ごはん前のティータイムになった
「美味しい~!いつ食べても美味しい~!」
「母さん、ここのマカロン好きだもんな~」
「良かったですね?俺も何かあったら、買って来ますね?」
「さあさ、一緒に食べましょ?」
「ですが…」
食べましょ?って…
その人が買って来たんだけどね?母さん
「遠慮しても無駄ですよ?神谷家の人達変わってますから。あなたが、明日まで土下座続けるより、今一緒にマカロン食べた方が喜んでくれますよ?」
「ほぉ~…お前、俺らの事、変わってると思ってたのか」
「はい!いい意味でですよ?いい意味で」
「いい意味ね~?変わってるの、いい意味ね~?」
あの人は、父さんの会社の若い人で
チョイチョイ家に来る
名前…何だったかな
父さん、かなり可愛がってんだろな
「あの…じゃあ、いただきます」
「はい、どうぞ」
いや、だから母さん
それ、その人買って来たやつ
「それも美味しいけどね、私のオススメはピスタチオ!ピスタチオ平気?」
「はあ…平気です」
「じゃ、はい。絶対美味しいから!」
「ありがとう…ございます…」
恥ずかしい…
その人が買って来た物を
得意気に…
「はぁ…早く自立してぇ。あんな母さん恥ずかしい」
「そ?俺は、やっぱすげぇなと思った」
「は?すげぇな?図々しさが?」
「な?凪彩。莉玖も、流石おばさんの息子だな?」
「はあ?!あんなババァと一緒にすんな!」
「ババァ?!莉玖!ババァとか聞こえてきたのは誰の事?!」
げっ!
聞かれてた!
「べっ…別に?!母さんは関係ないよ?」
「そう?なら、いいけど」
なんで、そういうとこだけ聞こえるんだよ!
「凪彩、キリないってよ?どうする?」
「~っ…莉玖のっ…傍に居るっ!」
え?
「だな?ほら、嫉妬深い兄ちゃんの右腕になってやれ」
「うんっ!」
え?
なんか分かんないけど
うるうるした目の
メチャクチャ可愛い凪彩が、俺の隣に座ってきた
「凪彩…蒼渚んとこじゃなくていいのか?」
「莉玖がっ…いいなら…」
「いいに決まってんだろ」
「~っ!…うんっ…莉玖のとこ居るっ…」
可愛い---!
ぎゅ~っ!てしたい!
しないけどさ
皆に怪しまれるから、しないけどさ
「莉玖、マカロン食べる?」
「おお」
「どれがいい?」
「どれでもいい」
「じゃあ、これ」
「おお、ありが…」
あれ?
これは…
あ~ん!
うるうる凪彩が、あ~んしようとしてくれてる!
口を開けて、パクリと食べる
「美味しい?」
「んまいっ!」
「キモっ…」
「は?!蒼渚!お前今…キモって言った?キモって言ったな?お前!」
「中川にはなっても、犯罪者にはならない事を祈ってるよ」
「ならねぇわアホ!」
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