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映画
あんな痛かったのに、足は少し捻っただけ
肩も、安静とリハビリで治るらしい
が、普段は痛いから、なるべく三角巾を使うように言われ、なんか重症感が…
「莉玖、お風呂入ろ?」
「毎日悪いな、凪彩」
「全然。頭と背中だけじゃなくて、全部洗うのに」
「いっ?!それは…さすがにいい」
それにしても、凪彩が居てくれて良かった
この歳になって、毎日親と風呂とか無理だった
「莉玖、痒いとこない?」
「ない」
「じゃ、流すね?」
「おお」
美容師みてぇ
美容師…
そう言えば…
「凪彩、今月俺の都合に合わせないで、美容室行って来な?もう1人でも大丈夫だろ?」
「大丈夫だけど、莉玖と一緒の時に行く。別に毎月行かなくたっていいよ」
「…まあ、頭洗わなくていいって言えば行けるか」
「そうかもしれないけど、そこまでして行かなくてもいいよ」
「そっかぁ?じゃあ、俺が行けるようになってからでいっか」
「うん」
なんか…
最初に凪彩と美容室行ったの思い出した
「ふっ…」
「何?」
俺の背中を擦りながら凪彩が聞いてくる
「いや…最初に美容室行った帰りに、凪彩って呼んでいいか?って聞いて、拒否されたっけな~と思って」
「あっ…ごめん…嫌だった訳じゃ…」
「聞いた。ありがと」
凪彩から受け取って、自分の体を洗う
「嬉しかったんだけど…」
「ん。お互い、まだどうしていいか、分かんなかったんだよな?俺も、すげぇ気遣ったりして…」
「……俺、これまで何軒もの親戚の家で、お世話になってきたから、色々…考える事…あって…」
「?…凪彩?」
「莉玖に言いたくないとかじゃなくて…そうじゃなくて…」
なんか…言いづらそう…
「別に、何でも話せなんて思ってないよ。ここに来てからの方が、凪彩にとっては短いんだから」
「あ…うん…ありがとう」
ただ…
おそらくは、蒼渚は何か知ってるんだろなと思うのが、引っ掛かるところだが
凪彩に手伝ってもらって、湯船に浸かると
凪彩が頭を洗い出した
「あのさ、凪彩」
「何?」
「しつこくてウザイかもしんないけど、ほんとに蒼渚とはしてないの?キ…キス」
「うん。してないよ?」
「っかぁ~…すっげぇリアルな夢だったなぁ」
「俺と蒼渚さんで、キスしてるイメージ想像出来るんだね?」
「…えっ?!」
「俺はちょっと…莉玖と蒼渚さんのキス…想像出来ない」
「すんな!出来なくていいわ!」
なんちゅう恐ろしいもん想像しようとしてんだ?!
俺と蒼渚の…
鳥肌が…
「莉玖も蒼渚さんも、今彼女居ないの?」
「常に居て、今たまたま居ないみたいな言い方だな?居ねぇよ。そんなモテる様に見えるか?」
「うん…?」
「えっ?!マジで?!」
「なんで2人共居ないんだろ?」
「凪彩~…お前、いい奴だな~。凪彩は?好きな子とかできた?」
「ううん。まだ、よく分かんない」
だよな
まだ高校入って、やっとクラスの奴らの名前と顔覚えられたくらいだよな?
幸いな事に、愛葵とも、高瀬とも同じクラスになったし
高校は楽しめるといいな?
体を洗い始めた凪彩を、温かく見守っていると
「でも、この前、先輩に告白された」
「…………はあ?!先輩に告白された~?!」
「?…うん」
「なっ…なんで?!」
「なんで…なんか…雰囲気がタイプだとか言ってた」
「何年の先輩に?!」
「3年生って言ってた」
「びっ…美人だった?」
「美人って言うか…格好良かったよ?」
格好いい感じの
3年の先輩に
もう告白されてた!
モテる!
凪彩は、超モテる!
「で?!どうしたんだ?!」
「どうしたって…断ったよ。俺、その先輩の事何にも知らないし…まだ、クラスの人達の事も、よく分かってないし。誰かと付き合うとかって余裕ないもん」
「もったいな!…付き合ってみれば良かったのに」
体を洗い終わった凪彩が、湯船に入って来る
「もう少し…自分に余裕できてからじゃないと…相手の事とか考えられないよ」
なんか…
大人だ
「そっかぁ…ま、凪彩が後悔してないならいいんだけどさ」
「うん……」
「ん?少しは後悔してんのか?」
「ううん…背の高さが、ちょうど莉玖位だった」
「え?随分デカイ女子だな」
「女子じゃないよ?男の先輩だよ?」
は…?
男の先輩だよ?
格好良かったよ?
「男~~?!男の先輩に告白されたの?!」
「うん」
「なんで?!なんで男に告白されてんの?!」
「え?…分かんない」
格好いい感じじゃなくて
ほんとに普通に、格好いい男か!
「え…?凪彩…男に告白されんの初めてじゃないの?」
「うん…たまにある」
「たまに?!…凪彩…たまに男に告白されんの?!」
「うん…」
「その他に女にも告白されて?!」
「うん…男の人は、ほんとにたまにだよ?」
女の人は、たまにじゃないんかい?!
一体…
凪彩は何人の男女に告白され
何人と付き合ってきたんだ?!
これは…
完全に越されてる!
この話題は回避だ!
「凪彩、明日皆で映画見に行くんだって?」
「うん。俺は、あんまり見た事ないアニメだけど、函館が舞台だから、愛葵も高瀬も、行こう行こう言ってて」
「そっか。凪彩も、結構観光名所は、行ったとこ増えて来たし、楽しめるんじゃね?」
「うん。皆で映画行けるの楽しみだけど…今はまだ、なるべく莉玖の傍に…」
「大丈夫。明日は蒼渚遊びに来るって行ってたから。楽しんで来い」
「うん…」
よしよし
今は友達と遊ぶ方が楽しいよなぁ?
あんまモテんなよ?
ってか、俺に彼女できるまで
凪彩に彼女ができませんように…
あ、彼氏もできませんように…
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