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「ここもダメ……っと」
手に持ったリストにバツ印をつける。
「彼は真面目な人だったのに、どうして犯罪なんかに手を染めてしまったのでしょうね……」
私はただいたずらに部下を殺していたわけではない。
彼は手にした技術を悪用し、人間相手に不当な取引をしていた。ならば、手を下すのは彼の仕事を奪ってしまった自分がやるしかないだろう?
──ザザ……ザー……。
まるで土砂降りの雨のような音を出して回るのは、水蛇さん。いわゆる『使い魔』というやつだ。
さっきのは血が混ざってしまったので、今クルクルと回っているのは別の命だ。
「ふふ……。どうして、とは冷たいですって?そうですね、私が100%悪いですね」
何を言っているのかはよくわからないので、完全に勘だ。
たまに会話をしなくては話し方を忘れてしまう。声も出なくなるだろう。そのため、独り言にはなるが水蛇さんと話している。健康のためにやっているのだよ。
え?悪魔なのに珍しいって?ふふふ、気分も大事、だろう?
「このエリアにいると思ったんですけどねぇ……この、『コルマー』に」
『コルマー』は犯罪者が集まる街だ。
エメスとは違い、立ち寄る人が多いので流行の移り変わりが激しい。そのため置いてあるもの、建物の見た目、人など、街の情報は毎日のように変わっている。
コルマーでは数ヶ月に一回、大きな祭りが行われる。そのせいでたくさんの建物が壊れ、建て直される。そしてその時に訪れた別の犯罪者または旅人が復興を手伝い、新しい見た目に──そんな街である。
私の研究成果物を持ち出した彼なら、ここを拠点にすると思っていたのだが……。まだ見つかっていないだけなのか、それとも違うところにいるのか。
もう少し滞在することにしよう。
幸い、資金はまだまだある。
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