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「私の目的は知らないでしょう。それでも『ガジェットを捜す』という今の目的を知ったのです。ならば、証拠隠滅をするのに値する──違いますか?」
「そんなの屁理屈だ!」
彼は吠える。しかし決めたことは決めたこと。曲げるほど、私は優柔不断ではない。一度検証を始めると、その答えが見つかるまで突き進むのが研究者というものだろう?
「そうですね。ですがあなたも私の部下だった身。私のことはよぉくご存知なのでは?」
「………………っ」
彼は顔を歪ませた。
──もう、終わりだ。
そう物語っていた。
それに、まず彼はそこで転がっている悪魔の『命』を削って宝石に溜め込もうとした。それだけで処分対象になるというのに。
『悪魔』としては正しい行動だ。本能がそうしろと言うのなら、止めはしない。しかしそこで本能に負け、手を出してしまったならそれはもうアウトだ。
私は自分でも呆れるほどの悪人だが、他人の悪行は許せない。特に──あぁ、彼のような『窃盗犯』は一番嫌いだ。他人の財産で笑顔になろうなんて、愚かにもほどがある。
それが、元であれ研究者ならなおさらだ。
研究者には研究者のプライドってものが無いのかね?作る側が奪うだけになるなんて、もってのほかだ。『研究者』という言葉を調べてから今日を生きてくれないかね?
「『何事も、キッチリ』──素晴らしいことです」
「クソッ……クソッ!!」
本性を現した彼は、こちらに向けて魔法を放った!
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