舞台裏で水蛇は踊る

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 ──ザザザザザ!! 「ご、ごめんなさ──ごぼぼぼぼ!!」 「……………………」  横でもがき苦しむ元部下の横を素通りし、呆然と会話を聞いていたかわいそうな男に近付いた。 「お怪我はありませんか?……と言っても、魔力不足で立てないと思いますが」 「あ……あのっ……ありがとうございます!」  彼は座り込んだまま、まるで救世主を見るような顔をして礼をしてきた。 「おかげで助かりました!あなた様は命の恩人です!!」 「……………………はぁ。まさか、助けに来たとでも思っていたのですか?」 「────え?」  笑顔が固まった。 「私は情報が手に入ればそれでいいのです。あなたの命は、別にどうでも良かった」 「そ、そんな……」 「私は旅のついでに悪いことをしていると情報が入った昔の部下を懲らしめて回っているだけです。あなたが助かったのは、結果なのです。…………さて」  私は彼の胸ぐらを掴む。  最近の流行は知らないが、なるほど、シンプルな服装が流行っているのか。興味は無いが、今後身を隠すために身に着けるものとして覚えておいた方が良さそうだ。実行の確率は……せいぜい36%といったところだろうが。 「な、なんですか……」  彼は泣きそうな声をしている。 「あなたも、私のやったことを見ていましたね。なので生きて帰すわけにはいきません」 「ひっ!?」  恐怖を覚え、もがこうとするが元々体力が減っていたのと、私の力が強すぎるということですぐに諦めた。 「ですがここに良いものがあります」  私はポケットからピルケースを取り出した。中の赤いカプセルを取り出し、倒れた部下の衣服を少しだけ破いて、その布で包む。目の前の男はドン引きしているが、私もあなたも『悪魔』なんだ。  ──問題はないだろう?
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