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私は静かに首を振った。
「私も同じだよ。でも、本当に翔兄さんのせい? 翔兄さんが直接私たちをいじめたことある? 翔兄さんだって、そんなつもりじゃないと思う。
今日の釣りも、きっと本当に家族みんなで楽しみたいから提案したんだと思う。」
俊兄さんは再び視線を落とし、しばらくの間沈黙が続いた。そして、深い溜息をついて言った。
「彩、お前の言うこと、わかるよ。でも、それでもやっぱり難しいんだよ」
「俊兄さん、虹は日本では七色だけど、国によって色の数は違うんだって」
「はっ? 何言ってんの?」
「俊兄さんは、虹の色を混ぜたら何色になると思う?」
「色っていうのはな、混ぜれば混ぜるほど黒になるんだよ。俺たち兄弟3人なんて、赤、青、黄色だよ。たった3色混ぜるだけで真っ黒さ」
私は優しく俊兄さんの肩に手を置いた。
「虹はもともと光だったんだよ。屈折率の違いでそれぞれ違う色に見えてるだけ。でも、合わせると元の光に戻るんだよ」
「……」
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