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この前だってそうだった。
私はリビングで勉強をしていた。
「彩、その計算間違ってるよ」
偉そうに俊兄さんが指摘した。
「言われなくてもわかってるよ。自分で直すから放っといて」
「でも、こうしたらもっと早く解けるのに」
私はため息をついた。
「俊兄さんはいつもそう。私のやり方に口を出さないで。自分の勉強に集中したら」
「彩こそ、俺に対していつも偉そうにしてるじゃないか。少しは俺の意見も聞けよ」
二人の声が大きくなると、母さんがやってきた。
「あなたたち、静かにして。互いに助け合うのが家族でしょ」
誰のせいよと思って母さんを睨んだ。
母さんは睨み返してきた。変なことを考えるな! 私の遺伝子が弱かったせいにするな、と思っているのがオーラで伝わってきた。
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