あなたが欲しい

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その瞳に吸い込まれるように、私は背伸びして彼に口づけた。触れた部分が蕩けそうに熱いのは、彼のせいなのか自分のせいなのかわからない。だけど、その熱が私の中に入り込み、体の奥がずきんと疼いた。まるで、その部分をケイに直に触れられて、きゅうっと締めつけられたようだった。初めての感覚に腰が砕けそうになると、ケイが私を抱き止めてくれた。 「もう俺を感じてるようだな」 「わ、かんな…」  再び口を塞がれ、舌をすくわれた。息がつけなくなり、必死で腕にすがりついた。ケイはいつもみたいに私を噛んで、大切なものを包むように唇を這わせてくる。私の血が彼の体に取り込まれ、その彼がまた私を愛撫する。彼と私が深い源流で繋がったような気分だった。ようやく唇を離して、彼が囁いた。 「ヒートを起こしかけてる。おまえの香りが強くなった」  ケイの声が掠れている。彼が私を求めているのがわかった。自分から匂い立つ香りが彼をそうさせていると思うと、初めて自分自身を愛おしく感じた。彼にすり寄って胸に頬を預けた。高揚もするが、私も彼の匂いに包まれて、ヒートの気だるさもなく気分は悪くない。 「コーヒーが冷めるな。仕方ないか」  呟いた彼がふわっと私を抱き上げた。そのまま寝室のベッドに運ぶと、そっと降ろした私を押し倒すように二人でベッドになだれ込んだ。 「その気にさせたのはおまえだからな」 「だって…」 ケイが欲しい 自分のヒートも手に余るくせに、男の誘い方も知らないくせに、その気持ちだけが私を動かしていた。 いや、それが彼に届けば、あとは何もいらなかった。 始まりに備えて少し強ばった私をほぐすように、ケイは丁寧に唇をなぞらせる。首筋を愛撫し鎖骨に舌を這わせた。 「ふ…、っ」 「力抜いて。俺に預けて」 「ん…」  彼の首に腕を回して自分に引き寄せた。ケイは私の服の裾をめくり、胸に指を触れてきた。掌に覆われて、彼の体温が上がっているのを感じた。知らないうちに尖り始めた部分を、焦らすようにつまんで弾かれる。舌先で転がされ吸われていくうちに、腰がひとりでに浮いて彼を誘う。こんな自分なんて知らない。ぞくぞくする感覚が次第に私を大胆にさせていく。 またキスをしながら、ケイの手が私の膝を割って大腿(ふともも)に触れてきた。少しだけくすぐったくてぞわぞわするが、私の下腹部がじゅん、と疼いて、彼を求めて潤んでくる。さっきからそのたびに、彼にその部分をめちゃくちゃにされたくてたまらなかった。 「ケイ…」  口にすれば彼は叶えてくれるのはわかっていたが、いざとなると恥ずかしくて言い出せなかった。もどかしく思っていると、ケイが耳元で囁いた。
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