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バタバタした一週間が過ぎた...遺品整理も終わり、一日だけのんびりして、また都会へ戻る事になった。
「誠一郎...ルナちゃん、本当に助かったわ!」
「いえいえ...当然の事をしたまでですよ」
私は、手をひらひらさせて言う。
「それにしてもルナ?最近めっちゃ食ってないか?」
「え?そう?」
「うん...あんまり食いすぎると太るよ?」
「もう!うっさいわね!」
確かに、最近嫌に食欲がある。一週間前までは、そうでも無かったのに...。
「う...!」
急に吐き気がした。
慌ててトイレに駆け込み、便座をあげてかがみ込む。朝ごはん食べすぎた?
そう言えば、遺品整理の合間に、勉強してたからそのストレス?いや、それは無い...受験勉強してた頃に、ストレスで吐いたことなんて無い...まさかとは思うけど...。
『つわり...?』
思い返せば、ここ数日胸が嫌に張ってるし、下腹部に違和感もある。
『...』
吐き気も治まり、流してトイレからでる。
何事も無かったかのように装い、リビングに戻って椅子に座る。
「ルナ...大丈夫か?」
「うん!大丈夫!朝ごはん食べすぎたのかも」
「まったく...」
そう言って、せいちゃんは立ち上がる。
「ちょっと部屋に行ってくる」
「うん!わかった!」
せいちゃんは、欠伸をしながらリビングを出て行った。
「ルナちゃん...もしかして...」
「多分...つわりです...」
「調べてみる?」
「あるんですか?」
「妊娠検査薬?」
「はい...」
「あるわよ」
「えっ...?」
珠江さんは、くすくす笑いながら口を開いた。
「ここだけの話し...あの人が倒れる前まで、そういう行為をしてたの...」
「そうなんですか?」
「えぇ...あの子も手が掛からなくなったし、年の差はあるけど良いかなって...二人で話してたの」
確か珠江さんは、今年三十九歳、お父さんは五十前半...無理では無い。
珠江さんは立ち上がり、近くの本棚をガサゴソと漁り、妊娠検査薬を取り出した。
「まだ使えるはずよ?」
「あ、はい...」
珠江さんから受け取り、トイレに行って使うことにした。
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