秘書の『仕事』

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秘書の『仕事』

荷物の整理を終え、手元が落ち着いた頃。 副社長は前任の秘書がやっていた仕事の一覧やデータなどをくれた。 「これ、秘書さんにお願いしている仕事の一覧。俺の予定管理も大切な仕事だけど、書類や資料の作成とかもお願いしているから。一通り目を通して、仕事の全体像を掴んでくれたらいいよ」 「かしこまりました」 前任秘書が退職して、2週間経つ。 急に退職して代わりがいなかったとはいえ、副社長自身が秘書の仕事まで自分でこなしていたってことよね。 …流石、ハイスペック。 秘書、要らないのでは? そんな風に思えてくる。 「…あとね」 「?」 野依副社長は少しずつ近付いて来て、そっと私の顎を掴んだ。 「 …え?」 「秘書さんにはもう1つ、仕事をお願いしている」 「……………?」 もう1つ? 含みのある言葉に固まっていると、副社長は私にそっとキスをしてきた。 「……………え?」 「俺ね、キスしないと力が発揮できない。その為、秘書さんには俺とキスすることも、仕事としてお願いしているんだ」 「……」 唇を重ね、音を立てながら舐めては吸い続ける。 副社長は気が済むまでその行為を繰り返し、そのうち舌を絡め始めた。 「………」 こんなの、やばいって…。 足が震え始め、私の腰が砕けそうになった頃。 副社長はやっと唇を離した。 そして優しく私の腰を支え、頭を撫でる。 「…ありがとう。これで頑張れる。ということで…宜しくね、藤堂さん」 さっきよりも、艶々とした表情の副社長。 その後、元々早かった仕事の処理ペースは更に上がった。 「…………」 衝撃の展開に、体が震える。 まさかだけど。 もしかして、これかな……。 副社長の秘書が1ヶ月経たずに辞めていく理由……!! 確かにこれは…既婚者や彼氏持ちには耐えられないかも。 人事部は『このこと』を知らないだろうし、皆が独身でフリーとも限らないだろう。 「……」 急な出来事に、脳がフリーズしたまま動かない。 ていうか…。 副社長、キスが上手すぎる……。 最後に彼氏が居たのは5年前。 それ以後ずっとフリーな私。 久しぶりのキスは、少し官能的だった。
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