罪な人

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罪な人

野依副社長は、今日も変わらずキスをする。 甘くて優しい唇に、仕事中にも関わらず私の腰が砕けることもしばしば…。 「藤堂さんの唇を、今日も補給……柔らかくて、甘くて、美味しい…」 「…………」 貪るように唇を重ね続け、何度も噛んでは舐めるのを繰り返す。 副社長とはただ、『仕事』でキスをしているだけなのに。 最近私の身体は、何かを期待して疼く。 「甘い…今までに経験したことが無いくらい、藤堂さんの唇は気持ちいい…」 「……そんなこと…………」 「嘘じゃないよ、本当だよ……」 そう言って今度はそっと舌を絡めた。 しっかし…この副社長…。 付き合っているわけでもない、ただの秘書に対してそんな言葉を掛ける? 『仕事』でキスしているだけだよ? …なんて思いながら。 期待したらダメなのに、心臓が少しだけ跳ねる。 舌が絡む度に響く水音。 その音が妙にいやらしくて、より一層身体が疼いた。 未だに、何故キスをしたら仕事の処理速度が増すのか分からない。 副社長が部屋にいるときは、大体1時間おきくらいにキスを求めてくる。 蕩けそうな瞳。 火照った頬。 濡れて艶めく唇。 そのどれもが刺激的で、私の心を甘く誘う。 ……駄目ですよ、副社長。 やっぱりその顔は…反則です…。
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