姿なきハンター

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姿なきハンター

 浮遊クラゲの体液によって浮かび上がった鳥のシルエットは、まるでサギのように細く長い首とくちばしを持っていた。  まさか、狩猟中に乱入者が現れるとは思っていなかった。向こうもこちらに気づいたに違いない。首を上下に動かしながら、ゆったりと近づいて来る。 「ニコラ! 僕の背後に回って! 電気銃は僕が持つ。背中は任せた!」  ニコラが背中に回り込むと、ドローンにつけた電気銃をそっと僕に渡す。その間にも透明サギは徐々に近づいてくる。向こうは透明化という利点を失っているが、それでも僕らの二倍の大きさがある。あの鋭いくちばしで突かれたら致命傷になる。  鋭いくちばしが襲って来るが、ニコラがシールドを展開して防ぐ。こいつにも弱点があるはずだ。だが、初めて出会った生物の急所を探す時間はなさそうだ。 「こいつの弱点を特定するのに、どれくらいの時間がかかる?」  僕は腕に装着したデバイスに向かって叫ぶ。ローランの答えは「不明です」だった。  弱点を探すのは諦めるしかない。では、この場を離脱するには? どうにかして宇宙船まで戻りたい。透明サギの飛行速度は未知数だけれど、宇宙船より速いとは考えにくい。 「ニコラ、そのままシールドを展開していて! 僕が囮になる!」  僕が近くの森に向かって走り出すと、やはりこっちを追って来た。ニコラのシールドには敵わないと考えたに違いない。一本の大木に寄りかかると、透明サギが鋭いくちばしで襲いくる! その直前にしゃがみ込むと、細いくちばしは大木に突き刺さる。これでしばらく動きが取れないはずだ。 「ニコラ、宇宙船のエンジンをつけて! 今からそっちに行く!」
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