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いざ、海中に潜ると、改めて水陸逆転の現実を突きつけられた。海面から覗いただけでも、海底から水没したビル群がよく見える。僕が人差し指で耳を指すと、ニコラは頷いた。
「こちら、レオン。感度はどうかな」
「よく聞こえます」
「浮遊物に気をつけて、海底まで降りようか」
「了解です」
そう会話している間にも海中を漂うプラスチックや廃棄物が視界を遮る。都市が丸ごと海に沈んだのだから、その拍子に浮かび上がって来たのだろう。
「先導を頼んだ」
パワードスーツにプロペラをつけているとはいえ、あくまで補助だ。アンドロイドのニコラの力を借りるのがベストだろう。カーボンナノチューブ製のロープがしっかりと僕とニコラを結びつけているのを確認する。カーボンナノチューブは軽量でありながら、密度はダイヤモンドに匹敵する。そう簡単に切れることはないだろう。
「どこに向かって潜りましょうか」
「検討はつけてあるんだ。ロングアイランドの中央……つまり、今の海の中央に大規模な航空設備があったのが分かっている。そこに行けば、何かしらのパーツは見つかるんじゃないかな」
「では、参りましょうか」
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