姿なきハンター

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 航空基地というから、パーツの宝庫かと思ったけれど、どうも違うらしい。いや、宝庫だったに違いないが、水没時に散逸したのだろう。一つの部屋を開けようとしたところ、圧力でドアがうまく開かない。「ニコラ、頼んだ」と頼むと、体当たりであっという間にドアをぶち壊した。頑丈にできたアンドロイドなのだから、当たり前の結果ではある。  部屋の中を物色していると、片隅に光るものが見えた。近づいてみると、どうやら飛行機の尾翼の一部らしいことが分かった。そのまま使えるかは別として、宇宙船の補修には使えそうだ。僕とニコラを結んでいるカーボンナノチューブにフックでパーツを引っ掛ける。これでよし。もう少し探検したら十分だろう。きっとローランも喜ぶに違いない。 「ニコラ、次はあっちに行ってみよう」  僕の指さす先には、細い通路が続いている。おそらく、ビルとビルを繋ぐ廊下だったのだろう。海底だから、深海魚がのんびりと泳いでいる。構造物には発光生物が付着していて、どこか幻想的だ。人工物と自然の見事な調和と表現できる。深海魚たちに魅入っていると急に泳ぐスピードが早くなった。大きな影がサッと僕たちを覆う。頭上を見ると、現れたのは巨大なサメだった。
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