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「ねえ、ローラン」
「なんでしょうか」
「やけに静かじゃないか? そりゃあ、今のところ、生物といえば僕だけしかいないけど」
潜水服を作る作業を止めてみる。静寂の支配する世界。聞こえるものはそよ風の音くらいだ。
「レオン、水陸が逆転したのです、生態系が変わったのでしょう。まずは大型哺乳類は滅びたと考えるべきです。しかし、好都合です。ライオンに襲われずにすみますから」
哺乳類の絶滅か。人類もそうかもしれない。この広大な大地を独り占めか。嬉しいような悲しいような。
「ローラン、一つ質問してもいい?」
「なんでしょうか」
「僕以外に生物がいないとしよう。少なくとも陸上には。そうするとだ、僕は何を食べて生きればいいの?」
「宇宙船にある食料になります」
なんだか嫌な予感がする。しかし、聞くしかない。
「それって、何日分あるの?」
「……」
どうやら、そう多くはないらしい。今までは他の惑星で補給してきたけれど、荒れ果てた地球では期待できそうにもない。潜水服の作成と同時に食料探しも必要だ。人間はお互いに支えあって生きてきたんだなとしみじみと感じる。
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