闇夜の中で

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 夜が深まり、船内の温度も低下してきた。少し集中しすぎたかもしれない。少し休むことにした。偽装服の仕上げは明日に回し、ベッドに横たわる。しかし、完全にリラックスすることはできなかった。いつ何が起こるかわからない世界だ。夜行性の生物もいるかもしれない。 「ねえ、ローラン。浮遊クラゲみたいな生物はまだいると思うんだけど、この船の装備で対処できそうかい?」 「それは難しい質問です。どんな生物がいるか分かりませんから。ただ、昼の一件から考えるに、以前は海にいた生物が進化して陸上での生活に適応しているのではないでしょうか。もしくは水陸どちらでも生活できる種族がいるかもしれません」 「なるほどね」  僕はワニを思い浮かべた。鋭い歯に強力なあごの力。そして、獲物を捕らえるとぶんぶんと振り回して弱らせる。あれだけは勘弁だ。危険な生物に対処するには武器が必要だ。拳銃のように持ち運べるものが。 「ねえ、電気銃は作れるかい? 今後は水中に行くと思うから、防水性のものがいいんだけど」  僕は映画に出てくるようなものを思い浮かべる。シャープな外見だが、威力は抜群。 「非常に申し上げにくいのですが、それには船の重要パーツが必要です。具体的に言いますと、地球脱出時のブースターの補助装置です」 「ちょっと待った。それじゃあ、君の提案を受け入れると……」 「ええ、再び宇宙航行をするには都市の跡地からパーツを拾ってくる必要があります。あるいは、電気銃の威力を抑えて、パーツを使用しないか」  目の前に迫った危険か将来的な希望か。天秤にかけるまでもない。「その重要パーツを使うよ。今から仮眠するから、その間に作れるかい?」 「もちろんです。さすがに偽装服などは難易度が高いので、レオン自身が作る必要がありますが」
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