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仮眠から目覚めると作業スペースには電気銃が出来上がっていた。期待していたようにスリムではないけれども。
「ローラン、ありがとう」
「どういたしまして」
今日中には偽装服の仕上げまで済ませたい。早速取りかかろうと思ったが、昨日と同じ環境だと気が滅入ってしまう。何か気分を切り替えられるものはないだろうか。窓越しにはどこまでも続く荒廃した地面が広がっている。
「そうだ、モニターに昔の地球の映像を流してよ。もとの地球の思い出に浸りたいから」
ローランは返事をすることもなく、モニターを切り替える。そこには青い海、緑の森林、のびのびと暮らす動物たちが映る。ヒーリング効果なのか、肩の力がすっと抜ける。映像を見ていて何かが引っかかった。
「ローラン、映像を戻して!」
海中のシーンまで戻ると、あることに気がついた。水没した都市にパーツを取りに行くだけがすべてではない。元々の海中にあった資源を使えばいいのだ。海底にも――つまり今の陸地にも、自然資源が眠っているはずだ。
「今から偽装服を仕上げるから、その間に元々海底だったところの鉱床を検索しといて。準備が整い次第、そこに行こう」
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「それで、一番近い鉱床はどこだい?」
仕上がった偽装服の最終確認をしながら尋ねる。
「鉱床ではありませんが、資源が豊富だった場所はハドソンキャニオンです。ここから数キロ先です」
「よし、次の目的地はそこにしようか」
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