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「!」
声が聴こえた方を振り返ると、市宮百花がお弁当をを持って立っていた。
※百花が立っていたのは、東のエレベーター側の出入口。
「堂城先輩? いやぁ? 堂城晴海副編集長もお昼ですか?」
「……百花?」
百花に、先輩ではなく、副編集長と言われ、思わず言葉に詰まる。
確かに、今の百花からしたら、自分は先輩ではなく、他の部署の副編集長だ。
けど……
「……死神には、これまで通り、かわいい後輩として、接してやらないと呪い殺されるぞ!」
「!」
今度は、自分と百花がいる場所から最も離れた南側の出入口(階段)から、スーツを着た水川紘がエナジードリンクを飲みながら(左手にはもう1本別のエナジードリンク)、屋上に入ってきた。
「水川副編集長!」
「水川」
突然の水川に、百花と堂城は、同時に水川の名前を呼ぶ。
そんな二人に、名前を呼ばれた水川は、どういう訳ニヤニヤしながら二人の元に来て、
「おう! 息ぴったり! やっぱり、元先輩後輩だけはあるなぁ」
「水川副編集長! どうしてここに?」
「えっ? お昼休憩だけど? そんなことより? 市宮お前こそ、堂城をこんな事を連れ込んで不倫か?」
「ちち違います! 私は、ただ、屋上でお昼を食べようと思っただけで、そしたら、堂城先輩が珍しく弱音を吐いている所に遭遇したので、話しを訊こうとしたんです」
両頬を真っ赤に染めながら、水川の言葉を否定する百花。
「ふ~ん。市宮がお悩み相談ねぇ? 俺、今日、傘持ってきてねぇ!」
雲一つない空を見上げてながら、傘の心配をする。
「なんで! 私が、先輩の話しを訊こうとしただけで、雨が降るんですか!」
水川の腹に、強めのぐうパンチを食らわす。
その場にしゃがみ込み水川。
「……百花?」
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