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「……梨々花?」
「うん?」
「俺、このまま幸せになっていいのか?」
「なにそれ! 嫌味?」
「違えよ! いやぁ? 3年前、俺は、樹利亜と再会した。そして、3年後、その樹利亜と結婚した。だけど……」
もし、あいつら……泉石渚らに出会わなければ、俺は、もしかしたら、樹利亜と再会することも結婚することもできなかったかもしれない。
「……誠也君。貴方が、樹利亜さんと幸せになることが、あの子いやぁ? 渚くんへの最大の恩返しなるんじゃないの? それに、誠也君! 貴方に幸せになって貰えないと、私、いつまで経っても、お嫁にいけないんですけど!」
「……梨々花」
元恋人で、自分の最大の理解者である梨々花に、感謝の言葉を告げようろとしたら、
「……誠也君! その続きは、あの子に告げたら」
「えっ?」
梨々花の言う方向を振り返ると、弁当箱を持った百花が自分達の事を不安そうに見ていた。
その隙に、梨々花は、二人にばれない様にそっとその場を離れる。
「……百花?」
「ああぁの? 私……」
「……百花。俺が悪かった」
頭を下げる堂城。
「頭を上げて下さい」
「俺は、黒蝶時代の癖で、今でも他人に自分の弱さを見せるのは苦手なんだ。だから、百花。お前が、俺のことを心配してくれてるのも解っているのに、その気持ちに素直に答える事ができなかったごめん」
「いいえ」
「だけど、今回の問題は、俺たち、晴海の問題から、黒蝶であるお前の力を借りる訳にはいかない。それに、これは、俺たちだけで解決しないといけない問題なんだ」
「解りました。けど、それ以外で、困ったことがあったら、いつまで相談してくださいねぇ? 私は、死神の先輩の頼れる後輩ですから」
「おう!」
「じゃあ? 先輩! 水川編集長が待っているので失礼します」
再び、屋上に戻って行く百花。
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