初恋?

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「あれ? 晴海編集部って、璃菜が、今インターンしている黒蝶と同じ、6階だったっけ?」  エレベーターの前にやってきた黒木は、晴海編集部が璃菜が居る黒蝶と同じ6階か? それとも違う階だったか思い出していた。 「晴海編集部は4階だ!」  黒木は、後ろから突然聴こえてきた声に、後ろを振り返る、眼鏡を掛けた黒スーツの男性が立っていた。 「……あの?」 「なんだ!」 「あぁぁ! なんでもありません ああああの! ありがとうございました」   黒木は、男性にお礼を告げ、床に置いていた段ボールを手に取り、エレベーターに乗ろうとしたら、 「おい!」  黒スーツの男性が自分に声を掛けてきた。  その呼びかけに、エレベーターに乗ろうとしていた黒木は、段ボールを両手で持ったまま振り返る。 「あの? なにか?」 「それ? お前独りで、晴海まで持って行くのか?」  スーツの男は、黒木が持っている段ボールを指差しながら、自分にそう問いかけてきた。  段ボールの中身には、三野宮編集長が、晴海の棗編集長から借りた物が入っている。  なにが入ってるかは、知らないけど。 「そのつもりですけど? あの? 私に、まだなにか?」  場所を教えてくれた事には、勿論感謝はしているが、もうこのスーツの男性に、黒木は用はない。  だか、スーツの男性は、黒木に用事があるらしく、さらに話し掛けてくる。 「お前、インターン生だよねぁ?」 「えっ? あぁはい。半月前から、ここみで、インターンをやっています。あの?」  自分と璃菜がインターンをしていることは、雫丘出版の上層部。  そして、私達が、それぞれ、お世話になっている「ここみ」と「黒蝶」、あと私、本来インターンをするはずだった「晴海」の社員だけは知っている、  ということは、このスーツの男性は、「璃菜」がインターンしている「黒蝶」の社員か? もしくは…… 「お前? 黒木胡桃だろう?」 「えっ? なんで私の名前を?」  いきなり、自分の名前を呼ばれ、段ボールを落としてしまう。 「あっ!」 「おい! その箱の中、大事な物が入ってるだろう!」  黒木が落とした段ボールをスーツの男性が床に落ちる寸前の所でキャッチしていた。 「すすみませんん」  謝りながら、スーツの男から段ボールを受け取ると、中身がなんともなっていない確認する為に、段ボールの蓋を開ける。 「!」  段ボールの中に入っていたのは、メイド服と猫耳、そして、懐中時計?  えっと、三野宮編集長が、晴海の棗編集長から借りた物ってコスプレ衣装?  私に、人の趣味をどうこう言うことは出来ないし、自分だって、人には言えないこの一つや二つあるし。  それに、もしかしたら、雑誌のイベントとかで使ったのかも知れない。  そう! そうに決まってる。 「それ? 晴海の棗萌って、編集長の私物だろう? 黒木? お前、それ着たのか?」 「はあ?」  スーツの男性の予想も遥かを超えた問いかけに、黒木は思わず、「はぁ?」と返事を返してしまった。 「あぁすみません。これは、三野宮編集長から、晴海の棗編集長に返してきて欲しいと頼まれた物なんです。あの? どうした私の名前を知っているんですか? それに、あなたは、一体誰なんでんすか?」  黒木は、なにごともなかったのように、段ボールの蓋を閉じ、目の前にいる男性に、どうして自分の名前を知っているのか、そもそも貴方は誰なんですか? と尋ねた。   すると、スーツの男性は、まるでその質問が来るのを待っていたかのように、笑みを浮かべ。 「俺は、黒蝶の堂城誠也。黒木胡桃。お前のことは、小泉璃菜から教えて貰った。野心家で、男勝りの女がいるって。けど、俺から言わせると小泉璃菜、あいつの方がよっぽど男らしいと思うけど?」 「えっ! 璃菜が! あぁ! すみません! 私の知っている普段の小泉璃菜は、優しくって、まさに、ザ! 女の子なので」 「……ザ! 女の子? あいつが? なにかの間違えだろう?」  黒木の言葉を否定するかのように、悪魔の笑みを浮かべる堂城。 「あぁあの? 璃菜は、そちらではどのような仕事をいましているんですか?」 「……脅迫だよ?」 「!」  ★
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