君が戻ってくるその日まで

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君が戻ってくるその日まで

13時30分 カフェドルチェ  「すみません。晩くなりました。晴海編集部の方ですよね?」  眼鏡を掛けた短髪の(髪色は、アッシュブラウン)男性が、いきなり自分に声を掛けてきた。。  男性の服装、ストライプのシャツに、黒いジャケットを羽織り、黒のパンツ、足元は、黒の革靴。  そして、ズボンの裾からちらりと見える刺繍入りの靴下。 「そうですけど? あの?」  渋谷は、突然自分達の目の前に現れた男性に、驚きながらも、男性に声を掛ける。  渋谷の言葉で思い出したか、ジャケットの内ポケットから名刺入れを取り出し、名刺を1枚取り出すと渋谷に差し出してきた。 「ありがとうございます。えっ?」  男性から差し出された名刺には、フラワーショップ:ホワイト。副店長兼作家 若瀬怜音と書かれていた。 (えっ? この人があの? 黒木先輩が大ファンで、メディアが正体を探ろうとしているあの? 若瀬怜音! 嘘! 私と殆ど年齢? もしかしたら、私の方が年上なんじゃない?) 「どうかされましたか?」 「あぁいや。あの? とりあえず立ったままだとなんなんで座って下さい」  渋谷が、椅子から立ち上がり、向かいの側の椅子を手に取り、着席するよう勧める。  しかし、若瀬=鳴海坂昴は、そんな渋谷からの優しさを無視して、 「きみはさぁ? 自分の愛する人を護る為に、自ら進んで犯罪者になれる?」 「えっ? あぁ! 私は、そんなバカな事で、自ら刑務所なんか入りたくないので、恋人もしくは婚約者にも同じようなことを言うと思います」  若瀬怜音からの突然の問いかけに、渋谷は驚きながらも、自分の愛する人を護る為に、自ら犯罪を起こす馬鹿な人間なんて、漫画や小説、ましてや映画の中の話しだと思い、質問に真面目に回答しなかった。  けど、若瀬から飛び出した、言葉を訊いて、自分のいまの発言をすごく後悔した。 「そうだよね? 普通の人間は、自ら好きこんで犯罪者になれろと思う人間はいない? でもねぇ? 俺が、唯一親友と呼べる泉石渚って男は、6年間一途の一人の恋人の帰りを待ち続け、けど、待ち続けた恋人は、とっくに別の男性と結婚してって、でも、その旦那は、その恋人以外の他の女性とも肉体関係を持って、あろうかとか、その不倫相手に独身と偽ってプロポーズまでしてたんだ。酷いよねぇ? 俺の親友は、ずっと、その恋人の事を待ち続けてたのに。一方の彼女の旦那さんは、他の女性と不倫&偽装結婚。そりゃあ、奪いたくもなるよねぇ? 俺だって、愛する女性がそんな旦那の元にいるなら、自分が犯罪者になって、警察に捕まったとしても、略奪したいもん。あぁ! ゴメンねぇ? こんなはなし、今のきみには、関係なかったねぇ?」 「あぁいえ?」  これ以上、なんにも言えない。 「あぁ! そうだ! 今日の取材は、えっと……」 「渋谷咲です」  渋谷は、カバンから自分の名刺入れを取り出し、若瀬に一枚渡す。 「渋谷咲さん。渋谷さん。お一人ですか?」 「いや? もう一人、小泉璃菜って先輩が、会社に電話をする為に外に出てます」  渋谷は、若瀬に、小泉璃菜が外に出ていることを告げた。 ★
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