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「なんでしょうか?」
取材に行こうしていた胡桃は、突然の堂城からの呼び出しに戸惑う。
胡桃から、堂城に怒られることは何もしていないのだから。
「黒木。お前確か、先月、渋谷と浜中商事の取材に行ったよなぁ?」
「あぁはい。渋谷さんと一緒に、浜中商事のバニラアイスどら焼きの取材をする為に、浜中商事の工場の方に取材に行きましたけど?」
黒木胡桃は、渋谷咲の教育係を務めている。
そんな胡桃は、渋谷の強い要望と「晴海」読者の以前からの強い要望も相まって、先月、浜中商事で販売、製造されているバニラアイスを挟んだどら焼きの取材をする為に、浜中商事の工場を二人で取材した。
「……やっぱりか?」
「あの? それがどうかしたんですか?」
「いやぁ? 今、浜中商事の浜中社長からお電話があって、うちでは、バニラアイスを挟んだどら焼きなんてないって? あるのは、どら焼きの皮にバニラビーズ数滴含ませたバニラの匂いをするバニラどら焼き。黒木、お前、本当に、浜中商事の工場を取材したんだよなぁ?」
「えっと……」
堂城の問いかけに、なにも答えることが出来ない胡桃。
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