教えてよ※

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教えてよ※

 自分でも何を言ってしまったのか一瞬分からなかった。でも私の目の前に圧迫感と共にゆらりと立ち上がった西園寺の顔がギラついていて、理解させられたんだ。 「…葵さん、俺必死で我慢してるんですよ。これ以上下手打ちたくなくて。嫌われない様にって…。でもそんな煽る様な可愛いこと言われて、甘いフェロモン出されたら理性が千切れそうです。  俺からは手を出さないって決めてるんで、葵さんから手を出して貰えませんか。…葵さん?飛びついて襲ってくれるんでしょう?」  私は、唇から血が滲みそうな勢いでギリギリしている西園寺が、可愛いと思ってしまった。嗜虐嗜好は無いと思っていたけれど、意地悪するのは案外好きかもしれない。  自分でも息が浅くなっているのを自覚しながら、目の前の愛すべき男に手を伸ばして抱きついた。ああ、この匂い、手触り。触れると分かる、最近のゴタゴタで供給されなかった私の欲しいものだ。 「…これで良い?」  自分の掠れた声を自覚しながら、西園寺が私をグッと力強く抱きしめるのを感じて思わず笑みを浮かべていた。耳元で鳴る西園寺の心臓の鼓動が速くて、それがまるで私を好きだと連呼しているみたいで擽ったい。 「…もっと。いつもみたいに葵さんから欲しがって。」  待てが得意になりつつある西園寺は、私を傷つけるのが怖いのかもしれない。西園寺が思うより私はずっとタフで愚鈍なのに。  私は微笑むと邪魔な眼鏡を外してテーブルに置いた。じっと私の動きを目で追っている西園寺の顔を両手で挟んで、目を合わせながら唇を触れ合わせた。  途端に持ち上がる様に抱きしめられて、唇は押し潰された。西園寺の貪るような攻撃的な舌が私の唇を割って入ると、私もまた待ちきれない思いでそれを迎えた。  西園寺の口の中の味を感じると、どんなにこれが欲しかったか気づいてしまう。手加減なしの年下のアルファの情熱は、直ぐに私を焼き切って脱力させた。  ピンと張り詰めたYシャツの下の筋肉を直に味わいたくて、私はもどかしい気持ちでネクタイとシャツを引き剥がした。離れない様にぴちゃぴちゃと口の中をかき混ぜながら、二人の手が忙しく動き回って彼の肌を曝け出した。  西園寺の逞しい筋肉質な素肌を両手で撫で回すと、ピクリと震えるのが分かって、すっかり楽しい気持ちになっていた。しっとりとした張りのある皮膚はなめらかで気持ちが良い。  私が楽しんでいると、西園寺はカチャカチャと自分のベルトを外した。そのゾクゾクする様な金属音に重くなった瞼を持ち上げると、西園寺が私の手を自分の股間に押し当てた。  下着越しに猛々しくいきり勃ったそれが私の手を別の生き物の様に押して来る。ああ、欲しい。これが私をどう悦ばすかもう知ってしまっているから、私はだらしなく後ろを濡らしてしまう。  「…政宗さんのせいで下着が駄目になった…。」  そう文句を言うと、西園寺はクスリと笑って甘く囁いた。 「俺のを履けば良い。それか履かないか。俺、しばらく葵さんに下着着けさせる気ないですけどね。…やばい、名前で呼ばれると煽られますね…。」  そう言いながら、西園寺は私のズボンの紐を緩めて背中から手を差し込んだ。下着越しとは言えすっかり欲しがっている場所を長い指で揺さぶられると、えも言われぬ気もち良さで西園寺に縋り付いてしまう。 「ああっ、政宗…さん、ベッド、行きたい…!」  不意に抱き上げられて唇を触れ合わせたまま、西園寺は私を寝室へと運んだ。その間も私の手は休む間もなく西園寺の胸や背中を(まさぐ)って、ツンとした胸の先端を楽しんだ。  西園寺の甘い吐息が私の唇に触れて、私はどさりとベッドに転がった。手早く自分の腰に引っかかったズボンを下着ごと脱いだ西園寺は、Yシャツが引っ掛かっただけの喉を鳴らす様な裸体を晒して、ひくつく股間が食べて欲しげに主張している。  私は白いコットンTシャツを脱ぐと床に放り出した。麻のゆったりしたズボンはウエストの紐が解かれていたから、簡単に脱げてしまった。西園寺の彫りの深い二重が私の全身を視姦する。すっかり興奮して張り詰めたシルバーベージュ色の細紐のシルクの下着を満足そうに見つめて、ニヤリと笑った。 「相変わらず下着の趣味がいいですね、葵さん。…脱いで。」  いつも私の方が優位に立っているのに、時としてこうして西園寺が支配的になるのもゾクゾクする。私は両足を伸ばして組みながら、焦らすように脱いだ。興奮した西園寺が何か呟きながら、無意識に自分のシンボルをなだめるように扱いているのがたまらなく扇情的だ。  ベッドに乗り上げて、私の全身にキスを落としながら、ゆっくりのし掛かって来る西園寺を私は待ちきれずにかき抱いた。このアルファの匂いに全身がピリピリと敏感になる。  胸の先端を吸い上げられてあられも無い期待に満ちた声をあげるのも、身体を撫で回す大きな手がゾクゾクする様な気持ち良さを生み出すのも、いつも以上だった。  「あぁっ、早く…!」  我慢出来ない私に応える様に西園寺の指が私の中を馴染ませようとゆっくり動くのも、ただ焦らされて陸に上がった魚の様にのけ反ってしまう。  とうとう政宗自身を挿れて来た時、私は安堵に近い呻き声を上げていた。足りないものが満たされたこの満足感は、動き出す西園寺によって霧散した。すっかり私のいい所を知ってる西園寺にゆっくり擦り上げられて、そのもどかしくも高められる気持ち良さに瞼がヒクヒク震えた。 「そこ…っ、もっと…!ああっ!」  一気に奥まで挿れられて、私は目を見開いた。私を見下ろす西園寺もまた余裕のない表情で、それが胸を締め付けて西園寺を呻かせた。 「うっ、…葵さん、そんな締め付けたらヤバいから…!」  私は笑って首を伸ばすと、引き寄せた西園寺の唇を吸って囁いた。 「ん、来て…、一緒にいこ?」  それから馬鹿みたいに腰を振り立てる西園寺に追い詰められて、私は文字通り弾けて絶頂に飛ばされた。ああ、これ…。西園寺としか味わえないこの交歓は彼が私のアルファだからなのかな。ねぇ、政宗のオメガは私なの…?教えてよ。
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