5人が本棚に入れています
本棚に追加
どこかの地下通路で少女は走っていた。
少女は今年で14歳の誕生日を迎えたばっかりだった。薄暗い洞穴のような通路で、その少女の後を大きな靴音を響かせて悪漢が三人も追いかけていた。そこは身を切るような寒さの通路だった。
所々、寝間着一枚の少女の足にはかすり傷が浮き出ていた。息も絶え絶えで、少女の顔色はこの上なく青白かった。
少女はこの暗い地下の通路の行き止まりにあたった。命からがら真横へと逃げると小さな古びたエレベーターが見えた。だが、幾ら少女が上へとあがるボタンを押してもエレベーターは何も反応をしなかった。
悪漢がそれぞれ、斧を手に持ち下卑た笑い声を発しながら少女に近づくと……エレベーターの扉がゆっくりと開いた。
「おめでとうございます!」
エレベーターの中から素早く現れた背の高い金髪の青年は少女を急いで、箱の中へと引っ張り込んで、エレベーターの扉を閉めた。すると、エレベーターの中から扉を通り抜けて、何かが飛び出してきた。
悪漢たちの前に現れたその何かは、巨大な銀色の大鎌を持つ銀髪の青年だった。
「やあ、いらっしゃい」
銀髪の青年は、大きな銀の大鎌で三人の悪漢の首を瞬時に狩った。
三人の首は鮮血を上げ、この暗い通路の壁にそれぞれぶち当たる。
――――
「このところ14歳の少女ばかりが狙われていますね……それも右の手首に聖痕のような傷がありましたよ」
「ああ……」
困惑した金髪の青年の声に、銀髪の青年は無表情にこっくりと頷いた。
最初のコメントを投稿しよう!