夜を噛ム

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また大人の都合の良い言葉が飛んでくると溜息をこぼすと、男は少女を見つめたまま手招きし始める。 普段ならこんな手招きに乗らないのだが、今日は何故かそれに乗ってみようと思えた。 隣に立つと、煙草の煙が目に染みる。 「あぁ、悪ぃ」 男は煙草を足で踏み消し、夜のように黒く光のない瞳を少女に向けた。
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