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マローは続けます。
「そして、どうやら王太子とはあまり懇意にされていないご様子......」
「それはーー」
この1週間の私の様子をマローはよく見ていたようです。
「妃としても仲睦まじい訳でもなく、国政に携わる訳でもないとなると、どこかで存在価値を示しておかねば、城内でのお立場はやがて厳しいものになるのではないでしょうか。いえ、マギカマズルからのスパイだと指を指されることもあるかもしれません」
それは困ります。
例え一年後にマギカマズル国に帰るとしても、私にはそれまでこの場にいる必要があるのですから。
(......。)
マギカマズル国に居た頃はこういった政治的な心配事は全てお母様がなんとかしてくれていました。今になって、自分の無知•無力を思い知らされます。
(この男が信用出来るかどうかはわかりません。でも、私の立場というものを包み隠さず教えてくれたのはマローだけ。ひとまず、この提案に乗ってみましょう)
私はカップを静かに置いて、マローを見据えました。
「私、是非やらせていただきます」
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