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V
【一ヶ月後】
(楽しい)
存外に、宮廷魔術師の研究のお手伝いというものは私の知的好奇心をくすぐるものでした。
「はい、ではそこで力を一点に集中させて風を起こしてみてください。イメージは最初に果実を勢いよく絞るように力を入れることです」
「えぇ!」
マローは魔素というものを存分に理解しており、効率の良い魔法の使い方の知識を存分に私に披露してくれました。そして、私もまた魔法について意見を交換したり出来るのはお母様以外では初めてでした。
(天才型のお兄様や、公務で殆ど魔法を使わないお父様とはこんな話は出来ませんでした)
私はマギカマズルでは、よくお兄様に追いつこうと魔法の練習をしたものでした。風で木を揺らして果実を落としたり、ツリーチャイムのような楽器を勢いよく奏でたりもしました。
いつか、風で空を飛べたらと夢想したこともあります。空を飛ぶためには常に魔素を変換し続けなくてはならないので並大抵の技術では出来ないことに泣いたこともありました。
「今出せる一番の力を見せてください」
「見てなさい!」
手のひらを合わせて、ありったけの力を込めます。
「わ!」
私の起こした風が王城の庭に小さな竜巻を作りました。花びらを纏った風が高く高く昇り、そして散りました。マローは私の髪に付いた花びらを取り除きます。
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