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 一生に一度とはいえ、願いを叶えてもらえるのはなんと素敵なことでしょうか。 「それは便利ですね」 「そうかもしれませんし、そうではないかもしれません。若い頃に精霊に頼ってしまい、もう何も出来なくなる者も、勿体ぶって”一生に一度の願い”を使わずに死んでしまう者も居ますからね」  わかる気がしました。  所謂、人生の必殺技のようなもののようですから、使うタイミングが重要なことは理解できます。 「そして必ず、”一生に一度の願い”を使ってしまうと、その後の人生では精霊のことを見たり、声を聞いたりすることは出来なくなります」 「そう、なのですね」  私がジールヴェーの民であれば、何を願ったでしょうか。ジールヴェー国への復讐? でも、具体的なことは何も思い浮かびません。 (最初はジールヴェーの全てを滅ぼしたいと思いました。でも......)  ここで過ごすうちに、ジールヴェーも様々、一枚岩ではなく、良いところも悪いところも見えてくるようになってきたのです。  復讐したいという気持ちは、まだ私の中にあるのに、自分が手を下せるかと聞かれれば迷ってしまう私が居ます。 (いえ、こんな気持ちではお父様達の足手纏いになります)  私は気持ちを切り替えるように手の甲をつねりました。そもそも、ジールヴェーの精霊がジールヴェーを滅ぼすことに協力する筈がないので、考えても無駄なのですから。  そのとき、エルガリアがこう切り出しました。 「マロー様は”一生に一度きりのお願い”を私に使ってくれたんデス」 「エルガリア、やめなさい」  許します、と私はエルガリアの続きを促しました。
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