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「精霊の祝福あれ」
彼はそう言って私を花婿に託しました。
「待っていたよ、シラティス」
花婿は私を出迎えると、純白の手袋でヴェールを少しあげました。クリーム色の私の長い髪の毛が少しだけ顕になります。
「......。」
まるで童話からそのまま出て来たようなサラサラの金髪と青い瞳が近づいて来ます。
触れない、キスのフリ。
ここには私の血縁はおろか、知り合いすら一人もいません。
お父様は言いました。
《一年だけ待ちなさい。必ず迎えに行く。それまで決して、誰にも心を開いてはならない》
ここは元敵国の都、ジールヴェー。
山に囲まれた国の中央、白い城壁のある街。
顔を少し赤くしながら指輪を私の指に嵌めるのは、私の母を殺した少年でした。
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