VII

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VII

 スカートの裾を握って階段を上がっていく私と、それを追いかけるディラン。光は幾つか増えていって、眩いくらいになっています。 (行かなきゃいけない気がする)  どこか見覚えのある廊下を通り、行き着いた先は陛下の臥せっている居室の扉の前でした。息もあげずに後ろを着いてきたディランが問います。 「どうしたんだい?」 「わかりません、でも。着いてきなさいと」 「僕には見えないけど、きっと何かあるんだね。わかった陛下に面会を願おう」  ディランは手早く侍従達に話をつけると、陛下の眠るベッドの前に私達が立てるようにしてくれました。 *  陛下の顔色は酷い土気色でした。  以前よりもずっと具合が悪そうです。 「殿下、そろそろお呼びしようかと思っていた頃でして......」 「そんな、父上が!?」  陛下の命の灯火は消え掛かっていました。  そんな中、部屋の中にはいくつもの光と囁き声が聞こえます。 (鈴の音のような美しい声!)  ディランの話から察すると彼らはきっとーー。 《懐かしい力を感じる》 《風の魔法を見せて》 《見せてくれたらいいことしたげる》  私は目を瞑り、掌に球のようにして風の力を集めます。周囲の人々は突然魔法を使い出した私に驚くことでしょう。しかし、説明している暇はありません。 「な、何をする!」  侍従が慌てて止めようとする中、私は部屋の中から風で窓や扉を開けました。忽ち、部屋の外からも沢山の光が集まって来ます。
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