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《すごいすごい》
《懐かしい力だ》
《おかえり、おかえり》
きっとこれは精霊達の声でしょう。
精霊達は満足したかのように飛ぶと、陛下の周りを光で包み込みました。眩い光、温かい光です。
「な、なんだコレは!」
「シラティス、何をーー」
*
その瞬間、映像が頭を掠めました。
人間ーーとある若い男の願いを精霊ーーおそらく話に聞いた精霊女王が叶えている図です。男が何かを口にすると、精霊女王はその陶器のような肌からぽろぽろと涙を流しました。
(あぁ、好きだったのですね)
きっと、これは愛なのだと思いました。
2人はもう二度と離れないと言わんばかりに固く抱き合いました。
しかし、2人の恋はーー祝福されなくてーー。
*
「シラティス! シラティス! しっかりして!」
ディランが私の肩を揺さぶっています。
(今のはーー?)
私は現実に引き戻されました。混乱して辺りを見回すと、ディラン以外の人々が私を警戒したような目で見ているのです。
「ディラン様、怪しいですよ」
「陛下の身に何かあったら困ります!」
(しまった......)
《他国から来たスパイだと思われますよ》
先日のマローの言葉が思い出されます。
ディランが私を守るように立ち、緊張が走ります。
「シラティスは何か考えがあったんだよね」
「え、えぇ」
もしかすると、私のジールヴェー国生活はここで終わりかもしれません。
しかし、そのとき。
ゆっくりと、陛下が目を覚ましたのです。
「ふぁ〜ぁ。よく寝たわい」
元気に満ち溢れた姿で。
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