VIII

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VIII

「シラティス、説明して欲しい」  あの日から三日が経ちました。  陛下が瀕死から病を克服したことで、王城は上から下からの大騒ぎ。都の人々を呼んで祝いの宴やら何やらが行われた後、私はディランによって空いた客間に呼び出されていました。  人払いをして、2人きりです。 「いえ、私にもわからないのです」  本当に私もあのとき、何が起きたのかわかりませんでした。  マローやエルガリアに聞いても”精霊の可能性が高い”と言うだけで詳細はわからないのです。  《これは大変なことですよ、シラティス様。陛下はジールヴェーでかなり慕われていますからね》  《精霊に好かれた方は大きな使命を背負うコトがあるそうデス》 (そんなこと、言われても)  私は陛下を治したいと願った訳ではないのに。けれど、きっと精霊達は何かを伝えたかったのでしょう。  私は精霊のことだけは伝えておこうと口を開きます。 「ただ、精霊のような声が聞こえてーー」 「シラティスはマギカマズルの人なのに。精霊に気に入られたのか......。はっ、もしかして、俺があんなこと言ったから、俺のために”一生に一度の願い”を!?」  ディランは私の返答も待たずに私を抱き締めます。レモンバームのような爽やかな香りが私を包み込みました。 「ありがとう、ありがとうシラティス......」 (えっ、えっと)  勘違いだと、言えない雰囲気でした。  それに、あれだけ気まずかったディランの抱擁に嫌だったり、動揺したりするはずなのに、私はその腕を振り払うことが出来ません。  なぜならディランは涙でいっぱいに私の頭を濡らしていたからです。
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