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パーティーは夜まで続きました。パーティー会場のテラスで休んでいると、婚姻の儀のような正装をしたディランがやってきました。今日は満月。美しい月明かりに照らされています。
精霊達も集まっているのか、あたりはほんのりと明るなってゆきました。
「シラティス、今日は2/3記念日でもあるけどーーお誕生日おめでとう。14歳になったね」
ディランは私の薬指に二つ目の指輪を嵌めました。
このジールヴェーでは成人の折に指輪を贈る慣習があるそうです。二つの指輪はまるで初めから一つだったように重なり合い、私の指を飾りました。
「婚姻の儀のときはこんな感情を抱くとは思わなかった。でも、俺は、シラティスと本物の夫婦になりたい。俺はシラティスを愛してる。シラティスからも、愛されたい」
「わ、私は......」
私はディランとは違う気持ちです。ディランを愛してはいない。愛してはならないのに。
「まだ、何も言わないで。今は俺の気持ちを知ってもらうだけで良いから」
心が、疼きます。
私は本当にこの国を滅ぼす手先になって良いのでしょうか?
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