XIV

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XIV

《シラティスだ》 《シラティス》 《風の魔法使い》 「精霊さんたち、こんにちは」  ふわりと空を飛びながら、私はすれ違う精霊達に挨拶をしました。  翼を持つ私はどんな伝令や兵士よりも早いでしょう。 (早く、マギカマズルのお父様達が氷柱の破壊を知って攻撃を始める前に説得しなければ)  《ジールヴェーを潰す》ーーお父様は本当に用意をしているでしょう。四年を掛けた復讐はきっと大掛かりなものになっている筈です。 「急ぎましょう」 * 「もうすぐね」  山々が聳え立つ山岳地帯が目の前に現れました。  国境です。  ここを越えればマギカマズル。母国は魔素が多いためもっと素早く移動が出来るでしょう。 (そういえば、お母様が襲われたのはこの辺りだって聞いていたわ)  ジールヴェー国に入国する際は通れなかったルートのため、この道を通るのは初めてでした。 (お母様......)  私は氷の中に咲く一輪の花を大きな石の前に捧げました。せめて、向こうの世界では安らかに過ごしてほしいと思ったのです。  目を閉じ、再び開くと精霊達に囲まれていました。 《マギカマズルの姫シラティスよ、貴方に伝えたいことがあります》
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