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XV
「シラティス!? シラティスなのか!?」
マギカマズルの城に降り立った私を見て、お父様は驚いて腰を抜かしました。
四年前よりも長く艶やかに伸びた髪も、精霊の力を借りて大きく伸ばした翼も全てが前の私とは似つきません。
そしてマギカマズルの王城ではお父様とライオットお兄様が並んで巨大な起動前の魔法陣の前に立っていたのです。
私達マギカマズルの王族は基本的に魔法を何も準備なしに使えます。しかし、より入念に魔術具や魔法陣を駆使して、魔力を注ぎ込むことで威力を増すことが出来たのです。
「ただいま戻りました」
「おかえり。シラティス、話したいことは多々あるが、まずはこれを」
お父様は私に小瓶を渡しました。中に入っているのは鱗のようです。
「ついに完成したのだ。これは人魚の鱗と呼ばれるマジックアイテム。水の中でも暮らしていける発明品だ!」
「お父様はマギカマズルを海の中に移転するおつもりですか?」
嫌な予感がします。
お兄様の属性は水。お母様に次ぐ強い力を持った魔法使いです。それを私にだけ渡すということは......。
「氷柱によってお前を迎えに行けずすまなかった。だが、こうしてシラティスが帰ってきてくれたのだから、やっと復讐のトリガーが引けるというものだ」
すると、黙っていたお兄様が口を開きます。
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