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「シラティス、おかえり。お父様は興奮で上手く言葉がまとまっていないんだ」
お兄様は私を抱きしめました。
魔術師のローブを着たお兄様は四年前よりずっと背が高くなっていました。
「この四年間、僕たちはジールヴェーを僕の水魔法で海に沈める計画を立てていた。だけど、水魔法で都市ごと海に沈めたら君が死んでしまう。だから、同時並行で人魚の鱗を開発したんだ」
本当は影に持たせてコッソリ渡すつもりだったんだけどね、とお兄様は無表情で言いました。
「お兄様、そのことで、私、お話があってーー」
「さて、と。シラティスが帰ってきたなら人魚の鱗は要らない。さ、沈めよう」
お兄様はこともなげに巨大魔法陣に水魔法で一片を書き足し、魔法陣を発動させました。
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