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《ねぇ、シラティス》
《シラティス、ようこそ》
《あのひとを起こして》
《人間界居られなくなっちゃった》
精霊達が私を呼びました。
光に包まれて、目を開けると森の中にいます。
秘宝の力で人間界と精霊界の狭間が開いたのです。
(あれはーーお母様!)
炎の荊に包まれて眠る、お母様の姿が見えました。
「ねぇ、精霊さん達! お母様を返して!」
《良いですよ》
《嫌です。この者が起きれば精霊女王の代わりを務めさせるのです》
《どうしようかなぁ》
精霊達の間でも意見が割れているようでした。どうやら新しい精霊女王にお母様を据えたいらしいです。
「このままだと人間界が沈んでしまうわ。そうなったら、精霊さん達も困る。でも、お母様ならこの水も蒸発できる」
私はお母様の手を引きます。
「それに、まずはお母様が起きてから。そうでしょう?」
《シラティスに起こせるのですか?》
それはわかりません。
でも、心地よい風は目を覚ますのにピッタリだということは知っています。力を込めて、私はお母様の手を握りました。
(お母様、どうか、どうか私に力をーー!)
眩い光がして、私はお母様を引き摺り出しました。
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