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II
「ふぅ......」
怒涛の婚姻の儀を終えて、私は控え室で一人、ひと息付きました。やがて父はこの国を滅ぼす。あの言葉が真実であるならばと、私は侍女の一人もこの敵国に付いてくることを許しませんでした。
少なくとも私がこの国に連れてきたことで、我が一族の復讐に巻き込まれて家族を失う者がいて欲しくないと思ったからです。
今ごろ、私の家族は私と入れ替わりにマギカマズル国に輿入れしたジールヴェーの王女を迎えているでしょう。
(少しだけ、寂しいです)
私の居場所だったところに、別の誰かが代わりに座るような気がして、当てどころのない感情を抱きました。
お兄様やお父様は一体、どのような気持ちで花嫁を迎え入れたことでしょう。
コンコンとノックの音がしました。
「はい、どうぞ」
きっと侍女だろうと思って入室を許可すると、相手は花婿、ディラン殿下でした。儀式や挨拶などを多々こなしたにも関わらず、疲れた様子は微塵もありません。
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