III

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「!」  病に臥せっている姿でした。  真っ白な髪の毛をした陛下が天蓋のある寝台の上で青白い顔をして居ます。 (通りで何も音沙汰がないはずです) 「陛下、このように無事、婚姻の儀を執り行いました」  微かに動く陛下の目は虚ろで、何も映してはいないようでした。私は如何にも動じて居ないようなフリをして礼をします。 「初めまして。マギカマズルよりやって参りました。シラティスと申します」  当然のように反応はありません。 「シラティスはとっても可愛いお嫁さんです。二人でこれからのジールヴェーを盛り立てていきます」  ディランは陛下の手を握りながら涙ぐんでいますが、私にジールヴェー国を盛り立てるつもりは毛頭なく、私は呆然と立ち尽くすことしか出来ませんでした。  その後、侍従などと軽く挨拶を交わした後、私達は退出しました。陛下はあまり長くはないようです。 (何かしら、あの光るキラキラは......)  私は話の間中、天蓋の周りをふわふわと飛ぶ淡い光が気になってしょうがないのでした。  そしてそれは、私の他に見えている者は居ないように見えました。
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